あなたと

□この想いに嘘はつけない
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そのとき、彼はやってきたのだ。



「おい、土方さん遅れちまった!」

「!原田先生!」



琥珀は、自身が恋する相手を見つけると疾風のごとく原田に駆け寄った。



「おおっ!琥珀か」


原田は彼女にいつもと変わらない優しげな笑顔と共に頭をくしゃっと撫でた。


「めずらしいな、原田。お前が遅れてくるなんて」


土方は部員数十人を相手にしながら、話しかける。



「さすが土方先生…」


感心する者約一名。



「ああ、実はな…」

「なんだよ、左之さん。妙に辛気くせぇ顔して」






「俺、見合いすることになってよ」





突然放たれた、痛い言葉。


「原田先生…?」


「家の都合でな。そうならざるを得なくなった」





琥珀の瞳から、大粒のしずくが流れ出る。



(どう…し、て)

(なんとか言ってください)

(好きだから苦しい)

(苦しい)



そして、琥珀は気づく。




自分が感じていけないものだと、

これは、嫉妬だと。


明らかに越えられない壁があると






好きになって、

いけなかった、と




「!おい、琥珀!」

琥珀が駆けだす。
土方が叫ぶも、彼女は止まらなかった。






とまらない、
とまらない
とめられない。




いくら、無理だと理解していても。




この想いは偽れない



Next Story 第3章沈みゆく恋に
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