あなたと
□彼に託した一縷の望み
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あれから、何年もたった。
今私には娘がいて、旦那がいて。
桐栄の家―名誉も捨て去って幸せになった結果が此処に在る。
でも。
完全に捨てきったと思ったころに、運命は悪戯した。
わたしの娘、琥珀。
彼女の好きなひとの見合い相手が、桐栄葉菜。
わたしの、妹だった。
桐栄の家を捨てて幸せになった私に、たぶんあの子は憎しみを覚えてる。
そして、葉菜に「姉」として接することができなかった自分にも後悔はある。
その遺伝かわからないけど…琥珀を傷つけてしまったこと。
素直すぎて、貫けなかった想い。
夢中で木刀を振るっている娘に重なったのは、昔の自分。
自分が弱かったから、『彼』にぶつかれなかった分娘に強がりを覚えさせてしまった。
けれど、琥珀はそれを打ち破ってくれた。
私の分まで。
だからこそ。
私は一度実家に戻る決意もつけられたんだと思う。