星霜の星屑
□君を守るための嘘なら何度でも吐くよ
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ねぇ、
君はないちゃったかな。
(赦してほしいなんて言わないから)
僕は、恐ろしく冷たい声で伊織ちゃんに言った。
「気のせいだよ」
と。
彼女は蒼い顔をしていたけど、本当は泣いているんだと思う。
理由は分からないけど、こういう僕の直感はどことなく当たる。
君にはまだわからないかもしれないけど。
僕は無意識に君を護りたかったんだよ。
君は騙されやすいから…これで近づかなくなれば安心でしょ?
一応、伊織ちゃんは池田屋でお世話になってるし。
君を泣かせるのも、守るため…
そういったら君は怒るかな?
泣くのかな?
世界で、君だけは僕のことを覚えていてくれるかな。
僕は、たぶん長くない。
僕自身が分かっているから、大切に殻に閉じ込めておくんだ。
僕のせいで傷つかないように。
それが、僕の―
(君を護る嘘)