俺の妹がこんなに××な訳がない

□第三章
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これは、未空流と臨也が暮らし始めて1ヶ月程経った頃の出来事―――。




「未空流ー?未空流はどこにいるのかなぁ?」


情報屋、折原臨也は自分の部屋を歩き回っていた。

そして、机の前まで来て立ち止まる。


「どこに隠れても、無駄だって分かってる?」


臨也が机の下を覗き込むと、そこには体育座りをしている未空流がいた。


「あ〜あ、もうみつかっちゃったよぉ」


未空流はごそごそと机の下から出て来る。


臨也は机の下から出て来た未空流を抱え上げた。


「俺は未空流がどこにいてもすぐに見つけられるからね」

「そうなの?おにいちゃんすごいねぇ!!」


家の中で(しかも一室で)かくれんぼをする端から見れば微笑ましい兄妹を見て、同じ部屋にいた女、波江はあからさまな溜め息を吐いた。



それを見た臨也は、未空流を抱えたまま波江の方へと近寄った。


「どうしたのさ、溜め息なんかついて」


「あなたの将来を少し真剣に考えてみたのよ」


「そう。そんなの考えて楽しい?」


「楽しい訳ないじゃないの。心配だわ、いろいろと」



臨也はそれを聞いてハハッ、と笑う。


「俺は別に波江に将来を心配される筋合いは無いんだけど?」


臨也は自分が抱えている未空流を弄りながら話を続ける。

「俺の将来ねぇ。きっと、今と同じくらい充実していると思うよ。たくさんの人間を観察して、今よりも人間を好きになっている。そこに未空流がいれば、言うこと無しだね」

「...帰るわ。書類は棚に置いてあるから。あなたも仕事しなさいよ」


波江は荷物をまとめると、足早にその場を後にした。


「なみえおねぇちゃん、ばいばーい」


未空流を臨也に抱えられたまま波江を見送った。


その後、臨也は未空流をソファに降ろすと、ハンガーにかけてあったファーコートを羽織った。

未空流はそんな臨也を見て、不思議そうに首を傾げる。


「どっかおでかけ?」


臨也は「そうだよ」と言うと、未空流にも上着を羽織らせる。


「じゃあ、行こうか」


臨也は未空流の手をひいて部屋を出た。


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