長編

□02
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――はるや、はるや。
結婚ってなぁに?

「ブフォっ!ど、どうしたんだよいきなり」

「何かね、茂人が大きくなったら結婚してくれるかって言ってきたんだ」


「茂人のやつめ…いいか、風介。結婚って言うのはなずっと一緒にいるっていう約束みたいなもんなんだよ」


「ふぅん…じゃあ私晴矢と結婚する!」

「ああ!約束なっ」


――…ずっと一緒だよ!





「う…、っ」

目を覚ますと頭がぐらぐらと揺れるような感じに襲われた。

そういえば私――

サッカーの練習するつもりだったのに、いきなり変な薬嗅がされたんだった。

「(それにしても…幼かった頃の夢を見るなんて。)」

そう思いながらもガンガンとする頭を押さえようと手を上げた。

――ジャラッ

だが鎖が手首に繋がれていて上手く上げられなかった。くそ、気分が悪い。


ここは何処なんだろう…

広くシンプルな部屋だ。
ベッドやソファー、本棚などある程度の物は揃ってこそはいるが生活感が全く無い。
どことなくさっきまで誰かいたような感じもする。


ガチャ…と扉が開いた。


「おっ風介ちゃんお目覚め?」

「うわ、可愛いんじゃん。よくこんな子連れて来られたな。」


「だから言っただろー!メッチャ可愛い男の娘連れてきたって」


ぞろぞろと10人位の男達が部屋の中に入ってくる。

私が服の袖を握りながら、キッと睨み付けると1人の男がにやつきながら近付いてきた。

くい、と私の顎を上げ首筋をベロリと舐め上げた。

「ッわ、たしに…触れるな!!」


ビュン―思い切り蹴飛ばしてやろうと足を振り上げたら、他の男達に掴まれた。

「足細っせー…まじで女みてえ」


「なあなあ早く楽しもうぜ!」

掴まれた足をジロジロと観察され気持ち悪さに身を震わせた。

やっぱりこれは誘拐なのだろうか。
だとしたら、なんで誘拐されたのかが分からない。

「目的は何だ」


率直に言うと男等はまたニヤニヤし始めた。


「うーん。僕らは言うなれば君のファンでねぇ…目的は…」

少し悩む素振りをみせた後とても愉しそうな声で言った。

「君を調教して僕らのペットにすることかな!」


後悔ばかりが残った。
どうしてあの時素直に晴矢に謝らなかったのだろうと。

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