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□貴方が幸せなら
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「アイキュー、今日のディフェンス良かったよ」


ガゼル様が俺に話しかけてきた。
ああガゼル様に誉めてもらうのは何ヵ月ぶりだろう。最近バーン様とばかり話をして俺なんて眼中にも入ってなくて。
俺が入り込む隙間なんてないのは知っているけれど―



「ありがとうございます、ガゼル様」


ニコ、といつの間にか得意になった笑顔を張り付ける。いつからだろうか、心の底からの笑顔が少なくなったのは。



するとガゼル様は「…む」と言った。


「君は私に誉めてもらって本当に嬉しいのかい?」


どういう意味か分からなくてでも勘違いされたのだろうかと慌てて頷いた。
ガゼル様はジロジロと俺の顔を見てくる。



「嘘だね」


「…え?」


「だって目が悲しそう」


…驚いた。
ガゼル様にはそういう能力があるのかと疑ってしまうくらいに驚いた。


「そんな事ありませんよ…」


少し声が震えているかもしれない。
ここで言ってしまえばいいじゃないか、という悪魔の声が聞こえた気がした。 『ガゼル様が好きなんです』と。



「何か悩みでもあるのか。少しなら聞いてやるぞ」


ガゼル様が優しい声を掛けてくるたび俺の心はぐらぐら揺れる。



「俺は…ガゼル様が……」

今までずっと蓋をしてきた想いを吐き出そうとした、――でも。


「お!ガゼルにアイキュー」



人懐こくて力強くて尊敬している、そしてどこか羨ましいと思っていたあの人が現れた。

ガゼル様が振り向く。



「ガゼルー腹減った!食堂行こうぜ。キムチカレー食いてえ」

「全く君は…辛いものばかり。体に良くないぞ」

「朝ごはんとか言ってアイス食ってる奴に言われたくないね」

「なんだと貴様っ!」




バーン様とガゼル様が楽しそうに笑う。
やっぱりこの人には叶わないなと思った。







(ガゼル様が幸せなら俺も幸せです)





end.

バンガゼ(両想いだけど発展してない)←アイキューみたいな。

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