メイン2(イナgo
□広い世界を
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「剣城、今日はどこに行くんだ?」
放課後キラキラと瞳を輝かせて俺の所に来るキャプテン。
…キャプテンはハッキリ言えばお坊ちゃんだ。
神童財閥の御曹司なのだから当たり前なのだが。
この前松風に声を掛けられた時なんて見事なお坊ちゃんぶりを発揮してくれた。
「キャプテンっ!帰りにみんなでマック寄りません?剣城も!」
「俺は病院に見舞いに行くからパス」
「…ぁ、お、俺は…」
「??」
キャプテンは困ったようにおろおろしていた。
どうしたんだろうと思っているとバツが悪いような顔をして小さい声で呟いた。
「…まっくって、レストランか何かか…?」
変な発音で不安気に聞いてくるキャプテンを見て直ぐに察した。
…キャプテンは、マックを知らないのだ。
「あはは、何言ってるんですか〜」
きっと松風は冗談だと思っているんだろう。
でもキャプテンは本気で分からないのだ。
そんな時霧野先輩がにょきっと出てくると松風に軽くデコピンをした。
全く霧野先輩はキャプテンの周りに出没して正直邪魔くさい。
だが、相手も俺の事を同様に思っているだろう。
「いて、霧野先輩?」
「あまり神童を困らせるな、神童はマックなんて行った事ないんだよ」
ええ!?と驚いて声を上げる松風にキャプテンは「すまない…」と肩を落としてしまった。
「い、いえ大丈夫です!じゃあもしかして買い食いとかも…?」
こくり、と無言で頷くキャプテン。
俺は無性にキャプテンを色々な所に連れていってあげたくなった。
…それからは毎日放課後にキャプテンと色々な所に出掛けている。
霧野先輩が此方を見ていたが気にしない。
悪いですけど、キャプテンはいつまでも先輩のじゃないんですよ。
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「今日は俺の家に来ますか?」
「え?」
きっと霧野先輩の家位しか行った事がないのだろう。
一瞬迷ってたみたいだったが直ぐに笑顔で頷いた。
「剣城」
「はい?」
ふわり、と上品な恋をしたような甘い笑顔を浮かべるととても幸せそうな表情をした。
「これからも俺の知らない場所に沢山連れてってくれるか?」
「…っ、はい」
あんな笑顔を見せられて断れる訳がない。
この無意識天然お坊ちゃんには暫く惑わされそうだ。
end.
芹沢様に捧げます!///