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□新妻ハニー
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「拓人、今日は何作ってくれるんだ?」

キッチンで料理の下拵えをしていると蘭丸がひょこっと頭を出した。


「今日はシチューに挑戦しようと思って…」
「シチューか、俺の好物だ」


蘭丸と拓人は新婚夫婦だ。拓人は家が神童財閥という事で蘭丸も結婚に至るまでとても苦労し時間も掛かったが、今では新婚生活を存分に楽しんでいる。

その中で拓人はとても料理が上手く毎日の食事が楽しみで仕方なかった。
だが、拓人が可愛らしいエプロンをし料理の本を見ながら懸命に作る姿はそそるものがあり蘭丸は毎日が理性との闘いだった。


「ちょっと…っ」
「んー?」


料理をしている拓人に後ろから抱き付く。

「動きにくいから放して…!」
「やだね、だって動きにくくしてるもん」


な、と言って赤面する拓人に蘭丸は更に抱き付く腕の力を強くする。


「なぁ拓人」
「なに、……ッ!?」


拓人が後ろを振り向くとそこには蘭丸の整った顔があり、思考を巡らせる前に唇に暖かいものが当たった。
ちゅ、と音をたてて直ぐに離れていった唇が満足気に弧を描く。


「拓人の唇柔らかいな」
「ら、蘭丸っ…」


慌てて蘭丸を引き剥がそうとするが微塵も動こうとしない蘭丸に拓人は振り回されてばかりである。


「蘭丸、シチュー焦げてもいいのか」
「え!それは駄目だ」


そういって腕を避ける蘭丸に拓人はくすくすと微笑んだ。


「出来たよ。今持ってくから座ってて」
「駄目だ、俺が持ってくから」
「でも熱いから…」
いいの、と言ってシチューを食卓に運ぶ蘭丸は拓人をとても大切にしていた。
拓人もそれを見に染みて分かっておりだから自分も蘭丸に尽くそうと努力を重ねる毎日だった。


「早く食べようぜ」

椅子に座ってうきうきと心踊らせる蘭丸は子供さながらだった。


「いただきますっ」
「いただきます」


ぱく、とシチューを口に含むとキラキラと目を輝かせる。

「美味いっ、流石俺の拓人」
「っ…まだおかわりあるからね」


こういった所でもちらりと独占欲を発揮する蘭丸に拓人は顔を赤くした。


「拓人…好き」
「!…お、俺も…蘭丸大好きだよ」


2人して顔を赤くする。 沈黙の後なんだかおかしくなってきて笑い合った。

これからも、ずっと一緒。




end.

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