メイン2(イナgo

□気付けば君に溺れていました
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「(うー…寒ッ!)」

マフラーを巻きポケットに手を突っ込みながら外へ出ると、雪が降り冷たい風が吹き荒れていた。
コンビニに暖かいものを買いに行こうと出てきたマサキだが極度の寒がりなマサキは早々帰りたいと思っていた。

目的のコンビニに到着し財布に手を伸ばしながら何を買おうかと迷っていると、向こう側の棚の側にピンク色の頭を見つけた。
ピンク色の髪など思い当たる人物は一人しかいない。声を掛けるべきかどうか迷っていると視線に気付いた様で霧野がマサキの方を振り向く。

「なんだ、狩屋じゃないか」

何を買いに来たんだ?と聞く霧野に暖かいものと大まかに返すと俺もなんだ、と笑顔で答えた。
同じ事を考えて同じ場所に買いに来たという事が狩屋には何だかとても嬉しくて内心ガッツポーズをとっていた。

適当にココアを買って店を出ると霧野も会計し終わった様でレジ袋を持って出てきた。
端にあるベンチにすとんと座ると少し空いた空間をポンポンと叩いた。
きっと狩屋も座れという意味なのだろう。狩屋はゆっくりとベンチに腰掛けた。
ガサガサと乱暴に袋の中を探るとほかほかと湯気の出ているあんまんを此方に差し出した。
何故差し出しているのかときょとん、とすると霧野は「あんまんは嫌いだったか?」と聞いてくるので自分にくれるという意味だったのだと気付いた。

「いえ…好きです…けど」
「そうか。じゃあ食え」

霧野は自分の分のあんまんをぱくりと加えながら包み紙を剥ぎ狩屋の口に押し付けた。

「むぐっ、熱いだろうが!」
「はは、すまないな」


ぶつぶつと文句をこぼしながらあんまんを口にいれる。
すると霧野が笑いだした。

「な、なんですか!」
「いやー…狩屋って意外と可愛いなって思ってさ」
「な…!」


自分でも分かる位に顔を林檎色に染める。
霧野の口から可愛いなんて聞けると思わなかった狩屋はまさに不意打ちというやつで暫く固まっていた。

「狩屋?早く食わないと冷めるぞ」

食わないなら俺が貰う、と狩屋の手元にあるあんまんを食べようとする霧野を慌ててひっぺがす。


「(男に可愛いとか言ってんじゃねーっつの!!)」

心の中で悪態という名の照れ隠しを吐きながら狩屋は残ったあんまんを口に放り込んだ。




end.

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