メイン2(イナgo

□明日もあなたの虜
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キーンコーンカーンコーン……

「よっしゃ!」

退屈な数学の授業も終わりお昼ご飯の時間がやってくる。
葵に声を掛けられたが今日は断る事にした。
…何故かって、それは剣城が何を食べてるのか調べるため。
剣城はあまり生活感が無いから気になってたんだよね。


「あっ剣城!」

俺が声を掛けるとあからさまに嫌な顔をする剣城に少し苦笑いを浮かべた。
無言で立ち去ろうとする剣城を引き留める。


「ねっ、一緒に食べよ」
「…はあ?」

キラキラと目を輝かせながら剣城を見上げると剣城は気まずそうに顔を逸らした。お願いと何度もしがみつくと、剣城は渋々といった感じで頷いてくれた。

「はー…勝手にしろ」
「やった!」


屋上に着いて秋姉特製のサッカーボールお握りと弁当を広げる。
剣城のはどんなかな、とワクワクしながら待っていると剣城が視線に気付いたらしく嫌そうな顔をする。
するとため息をつきながら剣城はお弁当を出した。

カパ、と蓋を開けると凄く良い匂いがする。


「剣城…!もしかして、自分で作ったの!?」
「………わ、悪いか」


剣城はかあぁ、と顔を赤く染めて綺麗な形をしたウインナーを口に放り投げた。

「(剣城が料理出来るなんて…!)」

容姿は良いし勉強は出来るしお兄さん想いだし、勿論サッカーの才能は半端じゃないし…
凄いなとは思っていたけどこんなに完璧だったなんて。こういうのを才色兼備と言うんだろうな、と1人感心していた。


「剣城凄い!何でも出来ちゃうんだ…!」
「……」

剣城はぽりぽりと頬を掻いて視線を下に落とす。


「……ってやろうか」
「え?」

わざとではなく良く聞こえなかったので聞き返すと、剣城が更に顔を赤くした。

「…お前の分も、つ、作ってやろうかッ…」
「!」

剣城の手作りお弁当…!?あまりに驚いて硬直してしまう。


「ぁ、嫌だったら、良いんだ…別に」
「え!?…いや、貰う!作って剣城!!」


剣城にアタックしながら騒ぐと分かったから離れろ、と引き剥がされてしまう。

剣城の新しい一面も知れたし、手作りのお弁当を作って貰えるし、今日は幸せな日だなとニヤケながら剣城を見つめる。


「(明日が楽しみだ!)」





―――――――
次の日

信「わあ、天馬のお弁当凄く美味しそう〜!一個頂戴!」
天「へへ、だーめっ」

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