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□僕の変わりに君が
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「女みたいな蘭丸くーん!」
「うぇ…〜〜っ!」

幼稚園の男の子達が蘭丸の髪を引っ張った。
途端に蘭丸はアクアマリンの瞳に涙の膜を張らせて、嗚咽を溢しながらその場にしゃがみこむ。

「お前ら!蘭丸をいじめるなっ」

大丈夫か?と涙で濡れた瞳を此方に向ける蘭丸の手を取りゆっくりと立たせる。にこ、と微笑んでから蘭丸をいじめていた男子を睨み付ける。

「な、なんだよ!そういう拓人だって女みたいじゃないか!」

1人が虚勢を張ってそう叫ぶと、他の奴等もごちゃごちゃ言い始めた。

「2人で女子トイレでも行ってこいよ〜」

あははと大きな口を開けて笑う奴等に蘭丸がびくりと肩を上げた。
俺だって怖くない訳じゃない、でも蘭丸を守ってやれるのは俺だけなんだ。
男達の前に行き、キッと睨み付けると少し後退って行く。

「これ以上蘭丸をいじめたら、許さないからな…!」

そう言ってまだ怖がっている蘭丸の頭を撫でた。

「もう大丈夫だから、帰ろう?」
「…うん!」


明るい笑顔を見せる蘭丸に俺も笑顔を浮かべた。

「拓人は優しいね!」
「どうして?」
「だって俺が困ってるとき、必ず助けてくれるもん!」

大好き!と勢い良く抱き付いてくる蘭丸に笑いながらぎゅっと手を繋いだ。


「これからも、ずっと俺が守ってあげるっ」






―――――


ぐす、と鼻を鳴らしてココア色の瞳から大粒の涙をぼろぼろと溢す。


「どうして、あんな奴に雷門のユニフォームを叩き落とされなきゃいけないんだ…!」
「神童……」


神童は最近笑わなくなった。本当のサッカーとは何なのか、自分がやっていることは正しいのか。
そんな想いを抱えていた神童に更に追い討ちを掛けるかのように、フィフスセクターからやってきたシード、剣城の神童への監視。
元々繊細で精神面が強くなかった神童には耐えられないストレスだろう。
俺は神童の華奢な体を優しく抱き締めてから、教室を出た。


「キャプテンと慰め合いでもしてたんですか?」

横から聞こえた声に振り向くと今一番見たくない剣城の姿があった。こんな時迄、神童は監視されなくちゃいけないのか。
ガッ、と襟を掴むと剣城は不敵な笑みを浮かべ「怖い怖い」と笑った。


「神童を泣かせる奴は誰だろうと絶対に許さない……!」


――神童を守ってやれるのは俺だけなんだ。


end.

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