LONG

□男な君
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ヒョンスン「一緒に帰ろうよ」


さっきから私の前で私を「一緒に帰ろう」と誘ってくるのはつい数分前に出会ったヒョンスン先輩



ドンウン「ずるいですよ、僕も帰りたいです」




「いや、私帰る約束してますから」


ヨソプが言ってた、私が委員会に行く前に「昇降口で待ってるから」って。



ヒョンスン「どうせヨソプでしょー、」

「…そうですけど」




ヒョンスン先輩は頬杖をつきながら私に目線をあわせた



ヒョンスン「いいじゃん、皆で帰ろうよ〜」


「ヨソプがいいって言うかわんないし…」



じっと猫のような目で私を見つめてくる。正直人と話すのも人と目を合わせるのも私は得意じゃない




目を反らそうか考えている所で、委員会の終わりを告げるチャイムがなった



ヒョンスン「あー、終わった」

伸び伸びと立ち上がり、私のバックをもった


「わっ、ちょっ」




ヒョンスン「ほら行こうよ」



手首を掴まれ思わず転びそうになる、…苦手かも。こういう人




教室をでる時、後ろから「名無し先輩さようなら」って聞こえて、振り返ったら、ドンウンがニコニコしながら頭を下げた

もちろんそれに答えるように私も「ドンウンばいばい」と手をふる







階段を降りる最中も私の手首は掴まれたままで、歩きづらい
ヨソプに掴まれてる時はそんな事思った事ないのになぁ…





昇降口を見れば壁にもたれ掛かっているヨソプ。


「ヨソプ!」



名前を呼ぼうとして喉の奥にそれを押し込んだ



ヨソプの元に、知らない女の子が走って行ったから。
構わず足を進めるヒョンスン先輩の腕を引っ張り私は陰に隠れた





「ヨソプくん」


ヨソプ「あ、何?」

静かな昇降口に響くヨソプの声。どうしてだろう、嫌なほどドキドキしてる。
この先あの女の子が言う言葉に予想がついているから?



私は握ったままのヒョンスン先輩の手を更に強く握った。ヒョンスン先輩は一瞬びっくりしたような顔をしてから何も言わずに握り返してきた。


きっと分かったんだろう











ヒョンスン「怖い顔してるよ」

ヒョンスン先輩は私を笑わせようと静かな声で話しかけてくる



「あは…は」


渇いた苦笑いをしてからまた無言になる













「ヨソプくんが好きです」



私が小さく苦笑いした後に聞こえてきた予想通りの言葉

ヨソプはなんて答えるの…?









ヨソプ「気持ちは嬉しいけど…ごめんね」




きっと今ヨソプは眉を下げている、顔が見えなくてもわかる君の表情
ヨソプの出した答えに何故か少しだけ安心した







ヒョンスン「名無しちゃん顔怖いってば」


まだ怖い顔をしていたらしくヒョンスン先輩が変顔をし始めた


「ぁはっ」



不意の変顔に思わず笑ってしまい、口を押さえた
…絶対今の笑い、ヨソプに聞こえたよね…





その証拠にヨソプが女の子と話していた声が途切れた



きっと私を探して、くる




足音がして私は身体を強ばらせた
なんて言おう
言い訳を必死に考えて思考をとにかく働かせる。
























ヨソプ「名無し」



「ヨソ…プ」



ヨソプは今までにない怖い顔をしていて、繋いでいた手を睨み付けながら



ヨソプ「何で繋いでんの」



いつもより低い声で



ヨソプ「俺ん時は嫌がるくせに。だから手首しか掴んで無かったのに先輩には簡単に掴ませるわけ?」



いつもにない威圧感を私のみに与え、私を震え上がらせる




ヨソプ「なに?人の告白されるとこなんか見て楽しかった?」



先輩と繋いでいない右手首を掴まれた



「ヨソプ怖いよ…」

ヨソプ「名無しが悪いでしょ」



「何したか分かんな「…分かんないなんて言わせないよ」



ぎりっと手首に力を入れられ下唇を噛んだ



「告白されるとこ…みたのは謝るよ…」


ヨソプ「違う、そんなんじゃない」



射抜くような鋭い目で私を見つめる









何も言わずに先輩と繋いでいる左手を離させ



ヨソプ「告白されてるところに、名無しなら来てくれると思ってた」





下を向いたままのヨソプが小さく呟いた






ヨソプ「俺、誰かと付き合っちゃうよ…?」








初めて見せた君の素顔に、ドキドキが止まらない


どうして?
…その理由を認めたくない私はまた下唇を噛んだ






男な君
掴まれた手首と、私の胸がとても痛い

(どうしてかなんて
きっと自分が一番分かってる…)



to be continue



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