LONG

□Cry
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今日の教室はやけにざわめいていた
理由は簡単。夫婦と言われていたほど仲の良かった私達が離れているから



「………」


今日の空はやけに暗い
気分が更に沈んだ




「ヨソプくん!」

ヨソプ「……あ、何」

「本当はいつも話しかけたかったんだけどさー、名無しさんが居たから中々話しかけれなくて」


ヨソプ「名無しのせいにしな…………

ごめんね、話しかけてくれてありがとう」


一瞬口から出た私を庇う言葉。ヨソプはごまかしたけど、私にはちゃんと聞こえてるんだよ

窓側を見て気付かないフリ。いつもだったら飛行機雲を探して目から溢れそうな涙を引っ込めるのに

今日は生憎の雨
飛行機雲なんて見えない。ましてやカキフライ形のも。



「名無しちゃーん」



へらへらした呼び方に聞きなれた声
今聞きたくはなかった





「ヒョンスン先輩…」


ヨソプがガタッと立ち上がり教室から出ていった


「…」

ヒョンスン「一緒にご飯食べない?」

ドンウン「僕も一緒ですがっ」



きっとかっこいい2人だからお弁当とか差し入れとか沢山もらってるんだろう、だから購買に行かなくても両手には沢山の食べ物


ヨソプとは大違いだ…


私達は頷いてから屋上へと行く。ドアを開けた途端に私を塗らす雨




ヒョンスン「あー、アメだ」

「これじゃ屋上は無理ですね」


ドンウン「一旦先輩の教室戻りましょう」




階段を降りる足音に混じって聞こえる女の子の声に足を止めた

正確には女の子の声と言うよりは、





ヨソプの声





「ヨソプくん、お弁当作ってきたんだけど…」


ヨソプ「あー、ごめんね…
僕購買で買っちゃったから」


「そっかー…今日はチャンスだと思ったんだけどなぁ」

ヨソプ「なに?君も名無しがいないから?」


「だって夫婦って言われるのに渡すのって悪いかなぁって」




ヨソプは苦笑いしながら



ヨソプ「でも、もう名無しとは一緒にいないから」


ヨソプがいつも私だけに向けていた笑顔が今、あのこにも向けられている




しばらく放心していたら、ヒョンスン先輩が私の手を引いて階段を下り始めた



「ちょっと先輩!」


こそこそ話す
もちろん先輩は私が昨日ヨソプと何があったかは検討がついているんだろう



「私、昨日っ…」


ヒョンスン「でもヨソプくんが言ったんだよ今

「でも名無しとはもう一緒にいないから」って」


ヒョンスン先輩はヨソプ達がいるところを普通の顔で通りすぎる

…私の手を掴んだまま


ドンウンは私の後ろをちょこちょこ付いてきている



ヨソプは一瞬びっくりしたように目を見開いてから、私から目を背けた







「ヨソプ…」

立ち止まり、ヨソプの名前を呼んだ



ヨソプ「…」


ヨソプは無言のまま私達の横を通りすぎ、階段を下りていった




…寂しいよ
我が儘だってわかってる

ごめんねヨソプ…



昨日ヨソプに痛いほど掴まれた手首で涙を拭った








Cry
今日の空は、ヨソプと言う太陽を失い泣いているような私の心と同じ色だった






to be continue



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