LONG

□羽がはえたら
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ヨソプって意外と人気なんだなって、初めて気づいた
私がヨソプと離れてから、ヨソプの周りにはいつも女の子。ヨソプは作られた笑顔を張り付けみんなにイイ顔してる。

みんなに教えてあげようか
「作られた笑顔張り付けてますよ」って。




今日はヨソプの笑顔に比例する見事な晴れ。
嫌なほど窓側の私には突き刺さる


ヨソプと話さなかった時はずっと今みたいに窓を見つめていた



空に浮かぶ一直線の飛行機雲をいつも眺めるだけ
今日も不思議な形の雲を見つけたくてずっと空を見ていた





「あ、カキフライ」




前みたいな綺麗なカキフライ形の雲が丁度真上にあった


「ヨソ────…」



君の名前を呼ぼうとして口を閉じた
いつもならここでヨソプを呼んで


(みて!カキフライ形!)

ヨソプ(えー、カレーパンみたいだよ)

(ヨソプ目悪いんじゃないの)

ヨソプ(名無しこそ!)



なんてバカな会話をしていたはずなのに、ちょっとした事が私達の関係を狂わせた




「…バカみたい」


もうヨソプは私を必要となんかしていない。
早く私もヨソプから卒業しなきゃ


ヨソプみたいに作られた笑顔張り付けて、皆に愛想よく振り撒いて。






また窓を見上げれば
優雅に飛ぶ鳥が二羽

「鳥になれば良かった」




ヨソプとも出会わなくて済んだし。そんな事を考えながら私は重くなりはじめた瞼を静かに閉じた





「むーかし、ギリシャのイカロースはー…」


小さく歌ってたら、何だか涙が出てくる。いつもなら一緒に歌ってくれる筈の君がいない


「蝋で固めた鳥の羽ー根…」



イカロスのように蝋で作った鳥の羽でこんなつまらない所から飛び立ってしまいたい


最後はイカロスのように落ちて、記憶を無くしてしまいたい。ヨソプの所だけを。






ポタポタと落ちる涙
前なら落ちる前に拭ってくれたヨソプがいた
けど、今はいない





今さらだけど気づいたよ
ヨソプがどんなに大切な存在だったか。




ぼやける視界の中、
私の涙が落ちたときから外では地面に黒い染みを付け始めた


また雨だ


私の胸にぽっかりと穴が空いたように、空も太陽を失ったみたい。





止まらない涙を、見られたくないから隠そうと下をみた時、私の机の前に、クラスメイトの1人が現れた






ジュニョン「何泣いてんの?」

一見冷たく聞こえるこの言葉に、私は心が暖かくなった

「…ふぇ…っ」


名前も知らないクラスメイト。
なのに私に話しかけてくれた事が嬉しくて涙が更に止まらない




「ジュニョン、名無しちゃん泣かせたー!」


ジュニョン「違うから!」



ジュニョンと呼ばれたこの人は私を隠すように背中を優しく撫でてくれる




ジュニョン「屋上いこ」



きっと人気のないとこを彼なりに選んだんだろう



屋上につけば
さっきの雨は止んでいて、また太陽が顔を出していた
通り雨だったのかな




いまだにグスグス鼻を鳴らす私にぐいっとハンカチを差し出す


ジュニョン「いいよ、鼻かんでも」


「そ、それは遠慮する…」


ハンカチで涙を拭えば初めてしっかりみるジュニョンの顔



「ハンカチ、…洗って返すね」


ジュニョン「いいよ、あげる」


ジュニョンは優しい笑顔で私をみた


「…えーと、
ジュニョン?」


ジュニョン「そう、」

「なんてゆうか、とにかくありがと…」



きっとあの場所で1人だったら涙は止まらなかった



「色々あって…」


あははと苦笑いすればジュニョンは躊躇いもなく


ヨソプ「ヨソプでしょ?」


唐突すぎるにも程がある。ジュニョンは私の目を真っ直ぐ見ていた



「あ、はぁ、まぁ」



目を泳がせればジュニョンはケラケラ笑いながら肩を叩いてきた



「何で助けてくれたの?」


一番気になる事を聞いてみればジュニョンはまた笑うのをやめた。





真っ直ぐまた私の目を見て、





















ジュニョン「好きだから」











確かにそう言った


その言葉と同時に
屋上の扉が開いた





「ヨソ…プ」




ジュニョンの告白を聞いたヨソプは、また目を丸くしてから「邪魔してごめんね」と扉を閉めた




「待っ!ヨソプ!」



立ち上がりヨソプを追いかけようとすれば捕まれる手首




ジュニョン「ヨソプとは終わったんでしょ」



真剣なジュニョンの顔



「でも…っ」


ジュニョン「ヨソプはきっともう名無しを好きじゃないよ」


「私はっ…」



ジュニョンは私の次の言葉を待つかのように目を見てくる











「ヨソプが好きだから…っ」



また流れる涙
最近泣いてばっかりだな私



きっとヨソプは私が泣いてる理由が自分だって気づいたから私を追いかけてくれたんだ




ヨソプに…会いたい…




ジュニョンは立ち上がり、着いた砂を落としてから
行こう、と手を出した






ヨソプ、きっと今度は私が気持ちを伝える番
早く会って伝えたいよ














大好きだって







羽がはえたら
今すぐ君の元へ飛んで
大好きと伝えるよ





to be continue




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