X'mas
□HC
1ページ/1ページ
「…いないし」
待ち合わせしていた場所に行けば、いるはずのあいつがいない。周りを見渡しても全くいる気配すらない
周りはカップルだらけでちょっとイライラする
ケータイを取り出して電話をかける
なかなか出ない事に更にイライラする
コールが切れて聞きなれた声に一瞬頬が緩んだ
「ちょっと!なんでいないのよバカヒチョル!さっき電話ではいるって言ってたじゃん!」
ヒチョル「はぁ?だってお前、10分待って来なかったから一旦帰ったわ」
呆れて口があいた
「は?」
ヒチョル「俺様を待たせるからだっつーの」
「いや、一応今待ち合わせ時間より20分前なんですけど。」
あんたどんだけ早くきたの、と言いたい気持ちを飲み込んだ
「で、何分でこれそう?」
ため息をついてからヒチョルに聞けばうーんうーんと唸りながら、まだかかると一言
ま、いいや
今日が休みだっただけまだマシだよね
クリスマスまでケンカしたくないし…、
分かったと一言言ってから電話を切って、雪が積もったままのベンチにそのまま座った
寒い
カップルが皆イチャイチャしてて、ため息しかでない
イルミネーションで彩られた町がやけにクリスマスを私を悲しくさせる
「はぁ…バカヒチョル…」
目を閉じると何故か泣きそうになる。雪が瞼や頬に落ちてきて冷たい
周りのカップルはホワイトクリスマスだなんだかんだと騒いでいるけど、今、ヒチョルが隣にいない私にはホワイトクリスマスも嬉しくはない
周りのカップルの彼女たちは彼氏にたくさん甘えていて、それをしっかり笑顔で受け止める彼氏
今思えば、ヒチョルとはあんな風にイチャイチャしたことない
長く付き合ってるのになぁ…、
確かにヒチョルは有名な人だから公の場でイチャイチャなんて出来るわけないけど…
だからと言って家でもイチャイチャはしない私。
理由はただ、甘えたらあのヒチョルだからバカにするんじゃないかとか色々心配だから。
我ながら情けない
「はぁ」
「メリークリスマス」
私の前に立っているのはサンタ。
そんな格好してるから、周りのカップルが見てるよ、
「バカヒチョル」
顔を上げればニヤニヤと私を見下ろすヒチョル
「あ、よく見ればヒシカだ」
サンタの帽子をかぶっててもちらっと見える結んだ髪
「なにそれ、カツラ?」
ヒチョル「カツラじゃなくウィッグ。名無しってもっと上品に言えねぇわけ?」
ほらまたバカにする
「うっさい
遅刻野郎め」
目線をそらして小さく呟けばヒチョルに頭をガシガシ撫でられた
「ヒチョルが女装なんかしたら、…私勝てないじゃん」
今日くらいバカにするのやめたり、イチャイチャしたり、男のヒチョルとちゃんとデートしたりを望んでたのに。
ヒチョル「…何泣いてんだよ」
「ヒチョルが泣かせたんだよ…」
ヒチョル「ごめんって」
柄にもなく謝るヒチョル。
なんだかそれが凄く愛しくて。
「……ヒチョル…大好き」
そのままヒチョルに抱きつけば、
帽子ごとウィッグをなげ捨てたヒチョルは
公の場にも関わらず私にキスを落とした
END
(なんで遅れたの?)
ヒチョル(ん、これ)
(夢…?)
ヒチョル(現実
で?返事は?)
(ちゃんと言ってよ)
ヒチョル(………あー、なんつーか…
…結婚しよ…)
(喜んで)