間章達

□間章2
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[間章2]

 「白龍の神子…八葉…。僕には縁の無いものだと思っていたのに…」
 「弁慶、どうした?」
 「いいえ、なんでもありませんよ。九郎」

 僕が笑って言えば簡単に騙されてしまう、純粋な九郎。
 彼をきっと大成させる。
 しかし、九郎が大成するのを願い、同時に邪魔に思う頼朝…いざとなった時に、九郎を守りきることが、僕に出来るだろうか。
 根回しはしておこう。
 出来る限りの、考えつく限りの根回しを。

 「朔殿が静か過ぎたのか、望美が騒がしいのか、弁慶はどちらだと思う?」

 急に九郎に問い掛けられ、僕は後ろから聞こえる会話に小さく笑う。

 「確かに望美さんは、計画を立てた行動が苦手そうですね。その辺りは九郎と似ていますね」

 九郎が求める答えとは違うとわかっていながら、そう言えば九郎に睨まれる。

 本当に九郎は素直で、嘘がつけない。
 それが少し羨ましいとも思うが、僕にはその素直さが眩しすぎるとも感じる。
 今、京の町がこれ程に衰退しているのは、僕に責任があるのに。

 「弁慶、本当にどうしたんだ?…妙な者達の相手をして疲れているのかも知れないが、どこの間者とも解らない内は、疲れを見せるなよ」

 心配しているのに、素直に言えずに注意する形になる九郎に、僕は小さく笑った。

 「そうですね。しかし、間者ではないと思いますよ。九郎もそれくらい解るでしょう」
 「ああ、まぁ、確かにな。それに、弁慶が違うと思うなら間違いも無いだろう。安心した」
 「九郎は本当に素直ですね」

 そんな会話をしながら、僕達は京へと向かって行った。
 京は、もう、すぐ目の前にまで来ていた。
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