BOOK 月下美人
□1〜9話【書き直し】
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「日の国」、此処は日本とは似て非なる国。
これはそんな「日の国」の中の話である。
ここは着物を着た人たちが行き交う町から少し離れた場所。
旅人や商人が休憩していく為の場所に少女はいた。
この少女こそがこの物語の主人公、名を「藤枝 月」という。
少女は少し高そうな着物を身につけており、
周りには何人かの付き人がいた。
大半は女性だが、少し離れたところに腕っぷしが強そうな男の人たちが何人か。
その人たちは皆、月のことを見張っている。
普通の町娘ではこんなことは無いに違いない。
そうこの少女、月は普通の町娘ではない。
藤枝城、そこの姫様がこの少女の正体。
その店で注文をし、座って待っている月は辺りをぐるりと見回す。
そして遠くの方の付き人を視界に入れた瞬間深いため息をつく。
しばらくしてお茶と団子が運ばれて来るというときに、
月は近くの女性に手招きをした。
「あの、」
その女性はその言葉を聞き、
頷くと月をつれて店の中へ入っていった。
「ここがかわやです。では姫様、私はここで」
そういって女性はお辞儀をしてここの入り口の方へ戻ろうと踵(きびす)を返す。
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