BOOK 月下美人

□一話
1ページ/5ページ

人気の無い場所にぽつんと佇む一軒の茶屋の前。

その茶屋の周辺で何人かの人があわただしく動いていた。



「捜せっ!一刻も早く見つけだすのだ!!」


「はっ!」
そしてもう一人。見渡す限りの青。



雲ひとつない快晴の空の下、道のそばの暗い林の中の一本の木の影。

そんなところに一人の少女がいた。

少女は木の幹を背にギュッと手を握り締め唇を噛み締めると

ポツリと苦しげに言葉をこぼした



「…もうあそこになんて戻りたくないっ。」



だんだんと、あの自分を捜す声が近くなる。



「ここでは時期見つかってしまう。早くここから離れたところへ行かないと…」



少女は木の陰へと消えていった。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ