T-SS


□銀妙
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※現パロ、23歳と13歳
※銀時は安定のロリコン


午前中は暖かかったのに、夕方から雨が降りだすと急に冷え込んだ。銀時が寒さで肩をすくめる。妙は男に買ってもらったばかりの花柄のストールを、背伸びをしてその太い首に巻き付けた。
あのな、と銀時は渋面になる。その手は今にもストールを外しそうだ。少女はそっと手のひらを重ねて、男の動きを制した。
妙が微笑むと、銀時は益々渋面になった。細くやわらかな指先を握り、唇を尖らせる。
「…こっちがいい」
喉から絞り出す声は、低くかすれていた。
指を絡めてゆるく握ると、妙は恥ずかしそうにうつむいた。頬が桃色なのは、寒さのせいだけではないと思いたい。
きゅう、と握り返す力は思いの外強く、男の心がさわりと疼いた。勇気がわいてくる。
感情は幼なじみの域を越えてしまった。けれど、恋人にはまだ遠い。
いつまでも離さない大きな手を、妙は瞬きをして見つめた。
「……お兄ちゃん」
「もうちょっと、あったまるまで」
薄く笑う。
今できる精一杯のことを、甘えるようにねだった。

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