T-SS


□坂田と委員長
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 蝉、カブトムシ、クワガタ、カマキリ。夏は昆虫採集に余念がないのが坂田銀時だ。
 体育の授業中にも校庭の木にいるクワガタを捕まえて、委員長である志村妙に叱責されている。妙からすれば、カブトムシとクワガタの異種格闘技と言って戦わせる男子の気持ちがわからない。命で遊んでいるように見える。その筆頭の銀時が、妙は苦手だった。
 夏の終わり、町で銀時を見かける。コンクリ道路にしゃがんで何かをつまんでいる。近くの大きな木にそれを付けるのが見えた。
 銀時が去ったあと、木を見ると少年の身長と変わらない低い位置に蝉がいた。啼いていない。試しに羽根をつついてみるが、やっぱり啼かない。木に掴まっているのがやっとのよう──虫の息だ。
 最期は熱いアスファルトなんかじゃなく、優しい緑の中で生命が終われるように。土に還れるように。

 男子ってわかんない。
 妙は道の先をじっと見つめた。網を振り回す少年の姿がずっと遠くに見えていた。

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