男日 短編
□人生山あり、谷あり、溝あり 唐沢
1ページ/3ページ
ミ゛ーンミンミンミンミンミー…
静かな一室の空間に夏の音が流れ
音が途絶えたのを合図かのように、笑顔で少女は口を開いた
「こ、こんにちは?」
「こんにちは」
少女の挨拶からの少年の無表情で深々とお辞儀をする挨拶で、再び沈黙に戻る…
が、
「で、では自己紹介から致しましょうか。」
「そうしますか」
「私からしますね。私は、ドナルド ランランルーです」
「俺は、唐沢としゆきです」
「呼び方はどう致しましょうか?あ、私は苗字でも名前でもどちらでもいいですよ」
「俺も同じく、どちらでもいいです」
「じゃあ私は、としゆきさんと呼ばせていただきますね」
「俺は苗字で呼ばせていただきます」
「私だけ下の名前で呼ぶとなると、はしたないでしょうか?」
「ええ。ですが、どちらでもいいと言ったのは俺ですからね」
少女の笑顔はいつの間にかひきつり、苦笑いと化した
少女の口元から笑みが消えるのは、間もなくで
それと同時に、青年の右頬にくっきり手形ができるだろう
→