ライチ 短編
□大好き、ありがとう
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「私を…殺してよ。雨谷君…」
痛くても、涙が出ない。
胸が痛い。裂かれたこともあるが、それより痛い。
そんな私の顔を、興味なさげに眺める雨谷君。きっと私は、醜い顔しているのだろう。
「死にたがりを解剖しても楽しくないや」
「じゃあ、どうしたら生きようと思えるの?」
「きゃは、楽しいみがある感じかな」
「雨谷君、好き」
「ウザいだけだよ」
「君とこうやって、話せる事が私の楽しみだよ」
「死にたいくせに?」
雨谷君は、懐からメスを取り出して私の頬をそれでなぞる
「だって、私は」
「なに?」
「君に殺される事を望んでいる。他の奴に壊されるなら、君の手で、雨谷君の手で」
すると、メスは喉の中心部に到達した
「きゃは、気が変わったよ。醜い物は見ててウザいだけだし、グチャグチャにしてあげる」
「ありがとう、雨谷君」
「嫌い、マックなんて大嫌いだ」
「私は、好きだよ」
瞬間、目の前が消えた
大好き、ありがとう
痛いというより、暖かかった。
体の重みが無くなり、私は解放された気持ちだった。
だけど、雨谷君は少しだけ痛そうな顔をしていた。
end