非公開兎物語
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俺はどうかしてる。
イワンは猫なのに、俺の話を親身に聞いてくれている気がする。
だから、今日あった事、気になった事、何でも話してしまった。
「これ、昔の俺の友達。かっこいいだろ?アイツは、俺の事友達って思ってるかわかんねーけど…。」
ヒーローのカード売り場をふと見つけ、子供の姿が見えなくなったらこっそり買った、一つのカードをイワンに見せた。
折紙サイクロン。
カードにはそう書かれている。
店主も少し驚いていた。あまり売れないからだろうか。
「みゃあ」
「うわっ、どうしたイワン」
突然そのカードを見せた途端、イワンが顔に飛びついてきた。お腹はもじゃもじゃしていて温かい。
どうしてかは分からないが、イワンはとても喜んでいるように見えた。
一度顔から剥がすと目が合い、笑ってやると頬を舐めてくる。
「ははっ、本当どうしたんだよイワン」
それをとても愛しいと思った。
この猫に対して。
そうだろう?
***
エドワードが僕のカードを僕に見せる。
「これ、昔の俺の友達。かっこいいだろ?アイツは、俺の事友達って思ってるかわかんねーけど…。」
嬉しい。その言葉に支配された僕は、喜びに満ち溢れたこの胸をエドワードの顔に押し付けた。
エドワードは、僕の事をまだ友達と思ってくれている!
顔からぺろんと剥がされて我に返り、猫なりに感謝を表そうと頬を舐めた。
そう、エドワードの頬を舐めるのは、猫のイワンだ。僕じゃない。
だから、許されるでしょう?
気づき始めた、この淡い想いは。