捧げ物
□紫苑様へ
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「キ、キスって…!!」
伏「…ふざけないで下さいよ。そんなもの俺が許すとでも?」
礼「しかしこれは王様のいう事をきくモノでしょう?結局違えても次に罰を受けますよ。しかもこの上ない程の」
伏「……っ」
「お兄ちゃん…」
尊「……、…その辺にしてやれ宗像」
礼「嫌です。それに貴方は黙っていなさい。…さぁ、カナン。どうしますか?キスの場所は今ならご自由ですが」
…そう言って。
長い両の腕をカナンに向けて伸ばす礼司。
そして始まるカウントダウンに追い詰められて、ついついカナンはその手を取ろうと自分の腕を伸ばした。
……けれど。
それは彼にたどり着く事は無かった……。
…何故ならカナンの手は、彼の手を取る直前になって双子の兄に掴まれてしまったから。
それに疑問符を浮かべながらカナンは気味が悪い程同じ顔をした兄を見つめた。
(あれ?キレてる…?)
…と、そう思ったのが最後。
彼が「あんた…」と言って胸から短剣を出して礼司の後ろの壁に刺した。
…まぁ多分室長がギリギリ避けたから壁に刺さっただけなんだろうけど。
そうして話は冒頭に至るわけだ……。
そんなこんなで暴れ始めたシスコンの兄にカナンは小さくため息をついてから、向かって言った。
「やめなってお兄ちゃん。…いいよ、私するから」
伏「けど…!」
草「そうやで。する事ない。カナンちゃんが穢れてまう」
八「ど、同感だぜ…」
多「あれ?八田生きてたの?」
八「……そう思うやつがいるから生き返ったんっスよ。それよりや、やる必要なんかねぇんだかんな!!」
「八田くん…。ありがとうね、でも私……」
礼「ふふふっ。その照れた顔もまたいいですねぇ。さあカナン、どう……、…?」
『『『……?』』』
『どうぞ。』
……恐らくそう言いたかったのだろう。
しかし礼司は最後までそれを言うこと無く、広げていた大きくて長い腕を下したかと思えばそれはそのままポケットに入っている青い携帯を取り出して、ディスプレイを素早く確認し……
……盛大に顔を顰めた……。
淡「室長…?」
「?どうかしたんですか?」
礼「…事件です。ここから徒歩10分の西駅で爆発事故発生、今すぐ来るようにとの命令が下りました」
淡「い、今からですか?!しかしアルコールが入って潰れている者は……」
礼「…それは置いていくしかないでしょう。出れる者だけ私に続きなさい。緊急事態ですので酒が入っていても動ける者は私と共に来るように!」
『『『はっ!!』』』
「(た、助かった…!)」
礼「淡島君。非番の者も叩き起こして今すぐ向かうようにと連絡を」
淡「畏まりました。」
礼「…それから…カナン?」
「あ、はいっ!」
礼「助かった…。などと考えていたのなら大間違いです」
「へ…っ?」
礼「王様の命令は絶対なのでしょう?ならばこの続きは後ほどさせていただきます。そうですねぇ…続きは……、
続きは帰ってからゆっくりと2人きりの時にでも……ねぇ?」
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