忘れない
□第6鳶
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+☆+☆+
「カナンちゃんはさ、真琴くんの事どう思ってる?」
グリグリグリグリ!!
足の裏を笑顔で楽しそうに。かつ容赦無く押す彼に、カナンはそんな事を尋ねられた。
いたたたたっ!!と抗議するがスルーされ、「ねぇ、どうなの?」とそこだけは更に突っ込まれる。
いやいや!!痛いからやめて!!!
「そ、そうですね……っ。優しいお兄ちゃんかな?同い年だけど」
「あ、そこお父さんじゃないんだ」
「真琴がお父さん?…うーん…」
「…考えられない?」
「そうですね…。あれ?考えれば不思議」
「……。」
…本当、考えれば不思議だった。
真琴はカナンにとって位置付けるのならお父さんではなくお兄ちゃんだった。
昔から面倒見がいい彼だからお兄ちゃんなんだろうと考えるが、何処かそれとは違う気がする。
ならば何故…?と本格的にカナンは「うーん……」唸り声を上げながら思考を開始したその時。
突如先ほどまでグリグリとしていた力を弱めたかと思えば、原因である彼が再び爆弾を投下したのだった……。
「そっか…、お兄ちゃんか…」
「佐藤さん…?」
「俺はてっきりカナンちゃんは真琴くんの事が好きなんだと思ってたよ」
「は……!?」
「だってそうじゃなきゃお風呂一緒に入れる?身の回りのお世話頼める?……無理だよねぇ」
「………、まぁ…」
「従兄妹とはいえそれ以前に彼は男なわけだし。ね、そこら辺どうなの?」
「ど、どうなのって言われても……。そんな事考えた事も…」
「…そっか。じゃあ試してみよう」
「え………?」
ドサッ!!!!!
……突然の事過ぎて、一瞬カナンには何が起きたのか分からなかった。
ただ今までマッサージをしていた佐藤さんが、今は横になった自分の上に跨ぐようにいて。
それは見た事も感じた事もない、ただ背筋を突き抜けるようなゾワゾワとしたものが駆け抜けて行った……。
「!?佐藤さ「賭けをしよう」
「え…っ?」
「僕は真琴くんが焦る方にかける。だから僕が勝ったら少し考えてくれるかな?」
「な、何を……?」
「それはね………、」
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