捧げ物
□40万hit記念夢小説!!
2ページ/8ページ
+++
side 玲央
……………最近カナンの様子がおかしい。
部活が終われば速攻で帰ってしまうし、それも電話をかけてもメールをしても返事が帰ってくるのはその数時間後で。
明らかに彼女が何かを隠している事は明白だった。
しかし、一体何を……………………………?
「あ、でも俺この間カナンちゃん寮母室の前で見たよ?」
「は……?」
「『何してんの〜?』って言ったら外出届と外泊届を出してるんです、って。玲央に知られたら怒られるから黙ってて下さいねー、って!」
「……………………アンタ…、」
「わ、忘れてたんだよ!だから怒らないでーー!!!!」
「…でもよォ、現実問題外で何してんだろーな?毎日外出する必要があって、泊まり込む必要がある事だろ?んでもって玲央に知られたら怒られる事っていったら……………」
「……レオ姉……浮気されたんじゃ……………………、」
「……………………ぁあ?んだとコラ」
「「ひ、ひィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!」」
…………カナンが放課後何をしているのか知っていないかと、誰も残っていない放課後の教室で彼らに尋ねたのがそもそもの間違いだったと玲央は深くため息をついた。
しかし彼らの言う事にも一理あるかもしれない、と心の何処かで否定しきれない自分がいるいるのが酷く恨めしい。
…果たして本当に浮気なのだろうか?何か彼女の嫌がる事をしただろうか?
ただ、カナンはそんなタイプには見えないのだが………………………。
「な、ならさこうしない?明日の放課後、部活が終ってから皆でカナンちゃんを尾行大作戦!!」
「…まんまだな。」
「…そのままね。」
「えぇーー!!?でもでも!!これが俺的には一番いい案だと思うんだけど!!!」
「………ん、まぁそうかもしれないわねぇ。あの子頑固以外に頑固だから問い詰めても話さないでしょうし。」
「あー…、それに下手に問い詰めたら泣き出してそれどころじゃなくなりそうだしな。バレなきゃいいんじゃね?」
「よぉーし!なら決戦は明日だーー!!!頑張るぞーーっ!!!!!」
………………と。こうして面白がる小太郎と、それに乗っかる永吉。そして何処か疲労の面持ちの玲央は、全てを明日に任せてその日は何ともないフリをして部活へと向かったのだった。
…しかし玲央は最後の最後、それこそそんな下衆な話し合いが行われたその日が終る瞬間まで悩んでいた。
何故なら明日自分がやろうとしている行為は云わば一種の裏切りだ。
恋人を疑い、尾行し、真実を突き止めようとしている。
それをもしも彼女に知れたらそれでも尚彼女は自分を愛してくれるのだろうか、と……………。
(………考えるのはもうやめにしましょう)
……だって真実を知りたいと願う自分がいる限り、恐らく私は私を止める事は出来ないから。
そもそももし嫌われたら?浮気していたら?なんて考えだしたらキリがない。
全ては明日。
明日が私のこれからを左右するの………………………。
.