想いの結晶

□第3想
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「はっ、はっ、はっ…………………っは、」
















……………俺のカナン、と。



そう口にした男を見た瞬間、カナンは荷物の事などお構いなしに走って逃げた。



走って走って家のすぐ近くにある今は立ち入り禁止の、元は会社であったらしい建物の非常階段を登り屋上へと向かう。



ここなら人目も無いし魔法を使うには最適だ。息を整えてから帰ろうか、と。



そう考えて屋上に辿り着くなりカナンはその場に蹲るように座り、必死に呼吸した。











(あぁ、もう本当に馬鹿………………………。)












……………人違いですって言ってしまえばよかったのに何で逃げたのだろう。



これでは肯定したようなものではないか、と荒い息を吐きながらカナンは自嘲気味に笑う。



同時に先程カナンの前に現れた上下黒の衣を纏い、髪に一部銀色を混じえたあの男を思い出していた。



彼も、変わっていなかった………………………。
















「は、………………っげほっ、はぁっ、」



「大丈夫か?お前は身体が人より弱いんだ、無理をして走るな」



「う、うん……………………、…………………えっ!!!!?」



「呼吸を乱すな、落ち着いたらこれを飲め。気持ち悪くはないか?」



「どう、して…………………っ!!!?」



「どうして?何について聞いているのか分からんが荷物は魔法で俺の家に送った。お前を追ってきた事に関しては俺はこれでも警備隊長だから、としか言いようがないな」



「っ、」



「お前はカナンだろう?俺の幼馴染のあのカナン。…………………会いたかった。」






















【変化】



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