想いの結晶

□第6想
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おかえりなさいませ。



おかえりなさいませ。



お待ちしておりました。















……………そう言って迎えられたこの屋敷は久々に訪れたな、と。



カナンはまるで吸い寄せられるかのように文字通り先が見えない玄関へと入って行ったのだった……………………。
















言うまでもないかもしれないが、ここはピエールらが住まうオグルの屋敷だ。



普段結界が張られているためオグル以外の者がここに気付く事はまずない。なので新居が決まるまではここに住まわせて貰おうとここへやって来たわけである。



今頃グラシエは起きて、私がいなくなった事に気付いて探し始めただろうか………………。










(………………………駄目だなぁ)














……………もう帰らないと決めたのだ。



私はオグル。彼とは違う。



お父様は私に強いる事はないけれど、それでもオグルが動き出すのならそれに参加しなくてはならないだろう。



それに気付いたのだ。



そばにさえ居なければ、彼はあのままでいられる。今までのままでいられるのだ。



だからもう会わない。もう、二度と。
























【オグル】





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