庭球短編

□掛け替えのない日
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俺の恋人は・・・・・



今日は部活が早よう終わって

実際は今日は年に一度の俺の誕生日でオサムちゃんたちが早よう恋人のところに行きといわれその言葉に甘えて恋人の下に行っとるちゅー話や。


神奈川県内の総合病院

俺は恋人の居る病室に着くとドアをノックして



蔵「雅治入るで」



そういうと中から返事が返ってきて入ると雅治は上半身を起こしてこちらを向いていた。



蔵「ええ子にしっとたか雅治」




雅「子ども扱いするんじゃなか!」




蔵「すまんすまん」




俺は雅治に近づき、近くにあった椅子に座った。



雅「今日はやけに部活が早よう終わったんじゃな」




蔵「オサムちゃんたちがな」



そういうと雅治は納得したようだった。



雅「そうじゃ蔵、俺がええと言うまで目瞑って後ろ向きんしゃい」



蔵「おん」



なんやろなーと思ってしばらく待っているともうええよっと言われ目を開けると、
首にシルバーのチェーンにシンプルなリングが通してあるネックレスがかけられていた。



蔵「これ」



雅「蔵誕生日おめでとー俺からのペテン無しのプレゼントじゃ。ちなみに俺とお揃いぜよ」



雅治は微笑んで自分の首にかけているお揃いのネックレスを見せてくれた。




蔵「おおきに雅治大事に持っとくわ」




雅「おん俺にはこれくらいしか出来ん、これぐらいしか俺が居たという証が遺せんナリ」



雅治は苦笑していた。


俺の恋人は原因不明の不治の病を患っている。
徐々に視覚、感覚がなくなりだし身体機能も少しずつ機能しなくなり、最後は心臓と肺の機能が停止するらしい。
そしてこの病は進行性が早い、今は薬によって進行を遅らせてあるが医者によると、
この治療を行っても半年か、長くもって一年ぐらいしか生きられないと告げられた。


彼の腕には点滴がされいたる所に点滴の針の痕がみられ、ところどころ青紫色の痣があり彼の白い肌にくっきりと浮かんでいて時々ちらりと見えるたびにとても痛々しく感じた。



俺が暗くなってどないすんねん!
俺じゃなくて雅治のほうが苦しいはずや



そう思った瞬間俺は雅治を抱きしめていた。



雅「蔵!?」




蔵「そんなことあらへん雅治の遺したものはこれだけじゃあらへん」



雅「・・・・・」



蔵「俺と雅治との今までの思い出あるやろ悲しいこと言うなや」



俺が雅治の頭を優しくなでると雅治は泣いていた。



雅「すまん・・すまん蔵好とうよ」




蔵「俺もや雅治愛しとるで」




例え



喧嘩することも




やきもち焼くことも



顔を見ることも



横で笑うことも



横で眠ることも



名前を呼ぶことさえ出来なくなっても





蔵「今度は雅治の誕生日やな楽しみにしとき」




雅「おん。楽しみにしとくぜよ」






限られた時間の中で






たくさんの思い出を刻むんや







今日だって俺にとっては







特別で






大切な













掛け替えのない日やで。






ーENDー
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