12/20の日記
23:05
寒いときには
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「・・・寒い」
『冬ですからね』
「なんで冬なんてものがあるのかな?理解できない。
夏も冬も嫌いだ。秋が1番いい」
『確かにわたしも夏は苦手ですけど、冬の雪景色とかもきれいですよ?』
「雪なんて寒いだけだ」
『恭弥先輩、物事をいいほうに考えましょうよ』
大体、Yシャツに学ラン姿で外を歩けば寒いに決まっている。
それで風邪でも引いたらどうするというのだ。
また入院なんてことになりかねないし、それでは並中・・・いや、並盛の風紀が乱れる事になるだろう。
自覚が足りないわけでもないだろうに、このお方は・・・
「いいほうに考えるって、例えば何があるっていうのさ」
あるわけない、といった視線でじっと見てくる。
そこでわたしは少し考えた。
『そうですね・・・』
ぎゅ
『・・・こうすれば暖かいです』
「!」
一瞬驚いた顔を見せながらも、恭弥先輩は繋いだ手を握り返してくれた。
その手はやっぱり冷たいけれど、この手を握っていいのはわたしだけ。
この手を温めてあげられるのもわたしだけ。
そんなちょっとした優越感を感じたある日の帰り道―・・・
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