12/22の日記

00:00
王子の機嫌
---------------



「ひーめっ!おはよ ・・・っていねーし」


ノックもせずに部屋のドアを開けたけれど姫の姿はない。

となると談話室か。


でもオレの予想に反して談話室にも姫はいなかった。

っかしーな。

今日は姫もオフなはずなのにどこに行ったというのか。



「あんら〜ベルちゃん お・は・よ・う」


「きもい」


「やーね〜 挨拶しただけじゃない。
それにしても今日は起きるの遅かったわね」


「だって王子任務ないもん。なーそれより、姫知らね?いないんだけど」


「あら、あのコなら確か出かけたわよ」


「は?ドコに」


「場所までは知らないわ〜。でもフランと一緒に行ったわよ」


「はぁ!!?」



せっかくのオフに朝早くから王子を差し置いてカエルとデートかよ!!

しかも今日が何の日か覚えてないってこと?

ありえねーし。

なんなんだよ!? 王子の姫だろ?

むかつく。

すっげーむかつく。



イライラしながらオレは姫(とカエル)の帰りを待った。



姫(とカエル)が帰ってきたのは午後の2時頃だった。

オレが起きたのは10時だから最低でも4時間は出かけてたことになる。



『ベル、ただいま!』


「・・・」



オレの気も知らず、ニコニコとやってきた姫。

もちろんシカトする。



『ねぇベル?』


「・・・」


『怒ってる?』


「・・・」


ったりめーだっつーの。


『ベル・・・』


「・・・」


『ね、ベル・・・』


あ、ヤベ。姫の目が潤んできた。

泣いちゃうかもしんね。

悪いのは姫なのに、これじゃオレが悪いみたいじゃん。

とりあえず理由は聞いてやろう。


「・・・カエルとどこ行ってたんだよ」


『買い物・・・』


「なんでオレに言わないわけ?姫は王子のものだろ?」


『ごめんなさい・・・』


「もう姫なんて知らないから」


本格的にキレてオレは姫を置き去りにして部屋に戻った。

まじむかつく。そんなにカエルがいいわけ?

もうカエルとくっつけばいいじゃん。

姫のバーカ。


「おーい、ベルセンパーイ」


「んだよ、カエル」


「入っていいですかー?」


返事も聞かずに失礼しますー、とか言ってフランがオレの部屋に入ってきた。

こいつはこいつでなんなんだよ。


「ベルセンパーイ。センパイ泣かせていいんですかー?」


「姫が悪いんだし」


「あーあ。可哀想なセンパイ。せっかく堕王子のために頑張ってたのに当の本人がこれなんだからー」


「は?どういうことだよ」


この際、こいつが堕王子とか言ってたのは聞き流してやることにする。


「今日誰かさんの誕生日でしょー?だから買い物に付き合って欲しいって頼まれたんですよねー」


「!」


やばっ。これは少し王子も悪いかもしんない。









談話室に戻ると、姫はソファで膝を抱えて丸くなっていた。

とりあえずその隣に座って姫のきれいな髪を撫でる。


「・・・姫、ごめんな」


姫はパッと顔を上げた。

案の定、顔は涙で濡れている。


『なんでベルが謝るの・・・?悪いのは私なのに・・・』


「ちゃんと事情も聞かないで悪かったかなーと思って」


『私のほうこそごめんなさい。ベル、怒ってるよね』


そういってしゅん、と下を向いてしまう。

反省しているらしい。


「姫がフランと2人で出かけたことは怒ってる」


『ごめんなさい・・・』


「でも、それよりもっと聞きたい言葉があるんだけど」


『・・・?』


「今日、何の日?」


『・・・あ』


「姫、ちゃんとオレを見て言って」


そっと囁くと、姫はやっとオレの方を真っ直ぐに見て、オレがその日1番欲しかった言葉をくれた。



『ベル、誕生日おめでとう。 だ・・・大好きだよ!』




.

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ