01/07の日記

22:10
帰る場所
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※隠し弾『君と一緒に』の続きとなっています。








『ん・・・っきょ、や・・・』


「なに」



幾分不機嫌そうだけど、恭弥は唇を離した。

いくらクリスマスツリーで隠れて見えないとはいえ
よくよく考えればここは空港。

恭弥に会えた嬉しさですっかり忘れていたけれど
公の場でなんてことをしてしまったのだろう・・・!



「それで、なに」


『えっと・・・そろそろ搭乗時間じゃないかな〜と・・・』


「あぁ。いいよ、そんなの。もう一泊するから」


『え!!?』



しれっと言い放つ恭弥。

飛行機に乗って数時間前にイタリアに着いたばかりで
また飛行機に乗るのか、と思っていたわたしには嬉しい言葉だったけど、泊まる用意なんてしてきてない。

そのことを彼に言っても 買うからいいよ、と言われてしまい。


結局恭弥のいうままに空港から出ることとなった。





出口に立つと空から白いものが落ちてくるのが目に入る。



『恭弥、雪が降ってる・・・』


「そうだね」


『寒いね』



ぽつり、そう呟いたら、隣にいた恭弥がわたしの手を掴んだ。

そのままいわゆる恋人つなぎというやつになる。

恭弥の気持ちが流れてくる気がして、安心してその手を握り返した。





空港の前に並んでいたタクシーを拾ってホテルに向かう。

どうやら任務中に使用していたらしいホテルに行くらしい。



『クリスマスって混むけど、部屋取れるかな?』


「僕の顔が利くとこだから平気だよ」


『ふーん』




着いたホテルは確か3ツ星のホテルだった気がする。

恭弥はこんなところに1ヶ月も泊まってたんだ!


わたしをロビーに待たせて恭弥は受付で話をしている。

さして待つこともなく恭弥においで、と呼ばれボーイに部屋まで案内された。




案内されたのはスイート。

明るいけど華美すぎず、どこかしっとりした雰囲気の部屋に気持ちも落ち着く。


お風呂にお湯をいれてると部屋のインターホンが鳴った。

出ようとしたわたしを制し恭弥が出ると、
相手は女性のホテル従業員でなにやら紙袋を渡して会釈をして戻っていった。



『どうしたの?』


「君の着替え」


『えええっ!?』



確かに泊まる仕度してないって言った。

買うからいいよ、とも言われた。

恭弥の服のセンスはとてもいいってわかってる。


・・・でも恥ずかしすぎる!!



悪くないね、と言いながら紙袋の中を確かめる恭弥。

しかもわたしには見えないように。



「お風呂入るんでしょ?ほら」


『・・・』



黙ってその袋を受け取った。









―――








先程シャワーを浴びたばかりだから、僕は彼女が風呂から出るのをベッドに座って待った。

身体は重く、すぐにでも睡魔が襲ってきそうだ。



そのうちにドライヤーの音が聞こえてきた。

そろそろかな、と思ったところで彼女が出てきた。

頬を上気させ、白いネグリジェを着ている。

このホテルの奴ならしっかりしたのを選ぶだろうと思ったいたが、それは正解のようだ。
(雲雀が選んだのは次の日の服)



『恭弥・・・これ、シルクだよね・・・?』


「そうだよ」


『た、高いんじゃ・・・』


「君がそんなことを気にする必要なんてないよ」



そういっても、まだ腑に落ちない顔をしている。

何が気になるというのか。



下着とかのサイズもホテルの人に言ったの?』


「うん」


『うぅ・・・』



嗚呼、それが恥ずかしかったのか。



「いいからおいで」



声をかけると節目がちになりながらも僕の隣に座った。


そうすれば
湯を浴びたばかりの君の温もりを感じ、
石鹸の清楚な香りが漂ってくる。



『恭弥・・・』


「なに」


『ちょっと痩せたね』


「・・・君の料理が食べられなかったからかな」



そう言えば恥ずかしがると思ったのに、
彼女は顔を僕の方に向けた。

真剣な瞳に惹きつけられる。



『お疲れさま』



たった一言。

ただ君がその言葉を声にしただけで、終わったんだと実感する。



「   、ただいま」


『! おかえりなさい』



君の名前を呼んで呟くと、彼女はふわりと微笑んだ。


その笑顔が優しくて、愛しくて。

堪らず彼女を抱き寄せて、そのままベッドに横になる。





直に感じる温もりに、彼女の柔らかさに、流れる髪の手触りに安心感を覚える。

びっくりしていた彼女も強張らせた力を抜いて、僕の背中に腕を回した。




『おやすみなさい・・・』


「うん」




彼女の鼓動を聞きながら、僕は静かに目を閉じた。



僕の帰る場所は君だから











☆コメント☆
[れいち] 01-07 23:38 削除

コメント失礼します><
読みました!!
もう雲雀さんカッコよさすぎます/////
きゅんきゅんがとまりません!!

最後の一文に完全に心臓をもっていかれましたw

トキメキをありがとうございました!!

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