06/26の日記
00:58
口実
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「ねぇ、君は僕のこと、どう思ってるの?」
下校中に突然振られた言葉。
どうって、それはもちろん付き合ってるんだし…
「好き、だよ…?」
「…それだけ?」
むす、とした表情で聞き返してきた恭弥。
何が気に入らないというのか。
「大好き…?」
「違う。」
もういい、とそっぽを向いてしまった恭弥。
どうやらご機嫌を損ねてしまったみたいだ。
そんなところも可愛いのだけど、なんて言ったら怒られちゃうだろうな…
「ね、恭弥?」
「…なに」
「こっち向いて?」
「やだ。」
「なんて言えばいいの…?」
「君、本気でわかってないの?」
少し怪訝そうに顔をしかめたと思ったら、人の悪い笑みを浮かべてわたしの腕をとった。
そのまま、ぐいっと腕を引かれて耳元で囁かれる。
「愛してる、って言いなよ」
「…っ!?」
低音でそんな言葉を耳元で言われて、思わず赤面したわたしを恭弥は楽しそうに見下ろしている。
ご機嫌が直ったようなのは結構なのだけど、そんな台詞、簡単には口にできない。
「ねぇ、言えないの? 君の僕への愛はその程度?」
「ちがっ…」
「ならいいなよ」
「……」
恭弥の顔がすぐ近くにあって、相変わらず耳元で言われたとなっては緊張してしまってそれどころではない。
わたしが黙っていると、恭弥は、む とした表情になり、そのままわたしの右耳をぺろ、と舐める。
「や..っ」
「ほら、早く言って」
「そんな…あっ…」
恭弥の舌が耳の中に侵入する。
その濡れた舌の感触にびくっと反応してしまうわたしを、恭弥はくすくす笑いながらもやめようとはしない。
しまいには耳朶を甘噛みされ、思わずぎゅっとしがみつくと「可愛い」と囁いてやっと解放してくれた。
ほら、置いてくよ
と言って先に立って歩き出した恭弥。
背中にたなびく学ランをくいっと引っ張って「あいしてる…」と呟いたら、彼はどんな顔をするだろうか..
END
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