短編

□うたた寝
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滅多にない完全休息日。
テニスの自主練に励むのも良し、ごろごろするのも良し、何をしようと自由な今日は。


鬼は編みぐるみを作っているため、ちょこまかと手を動かしていても無言。徳川に至ってはベッドで何をするという事もなく、ただゴロリと寛ぐという意外さ。


何気なく視線だけ入江に向けた徳川は、先程から机に頬杖をついて微動だにしない姿を、一瞬だけ不思議に思ったが、もともと騒がしいタイプではない入江なので特に気にしなかった。


トントン、という控え目なノックが聞こえたので、ドアに目を移すと鬼が「どっこいせ」と言いながら開けるところだった。


「なんだ、種ヶ島か。どうした」


「酷いわー。そない言い方せんでもええんちゃう?」


ほぼ毎日のように遊びに来るので、「なんだ」とも言いたくなるのは、鬼だけではなく徳川も口にしないだけで思ってはいた。
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