School

□球技大会
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青葉城西の中でも、人気のあるイベント・球技大会が只今開催されている。

種目はバスケ・バレー・バドなど一般的な球技がある。

ルールとしては、球技系の部活に所属する人はその種目に出場することは不可で、
さらに、チーム編成やペアは男女混合でなければいけないという決まりがある。

わたしは、テニス部に所属しているのでテニスに参加することはできず、ならば、無難に同じラケット競技であるバドにでもしようかと思っていたら、じゃんけんで負けてしまった。

その結果任されたのが、バスケなんだけど…















「キャー/////////及川さぁ〜〜〜〜ん‼‼」


「怪我しないように頑張ってくださいね!!」


「ん。ありがとね」


「「きゃーーーーーーー////」」



















よりにもよって、及川と一緒の種目なんて…

私は、先のことを思いやられて、深いため息をついた。






























及川はクラス、学年を問わず女子からの人気がある。
ルックスは間違いなくよく、そして学業の成績も悪いわけでもない。
加えてバレー部のキャプテンともなれば、そりゃあ女子が目をつけないわけがなくて…。



わたしはそんな及川のどこがいいのか分からなかった。
誰にでも向ける笑顔と、何を考えているかわからないような笑顔をあまり好いていないからだと思うけど。



そんな及川はよくわからないが私によく話しかけてくるのである。

















「やぁ、榎月ちゃん。まさか、同じ種目に出てるなんて知らなかったよ」



「・・・その台詞、どうせ色んな女の子にいってるんでしょ、どうせ」




「えー?俺がそんな男に見える??」




「少なくとも、私にはそう見えますけど?」




「ひどっ!!」




もう、ツンデレなんだから〜とかいう及川の脇腹に拳を一発入れてその場を立ち去った。






























噂によれば、初戦の相手の中には中学時代バスケ部だった人が何人かいるらいかった。

それを聞いて落胆するチームのみんな。
それとは、正反対に及川はいつもの嘘っぽい笑顔を浮かべ、みんなを励まし始めた。






「大丈夫だって!いくらバスケやってたっていっても中学ときの話でしょ?それなら、俺らにでも勝てるよ、きっと!」







そういうと、私以外のみんなの表情が明るくなり、どうやら士気が高まったらしかった。
その調子でみんなはコートに向かっていった。
私はどうしても及川の言葉を信じ切れずにいると、急にユニフォームが後ろに引っ張られた。

振り向くとそこには、及川が立っていた。






























「榎月ちゃんは俺の言葉を信じてないみたいだね」



「…!・・・だって、そんなに簡単にことがいくわけないでしょ」



「さぁね。やってみなきゃ分からないと思うけど?


 ・・・とにかく、俺はみんなのことを信じてるからさ?」




そういって、私の肩を軽く叩いてみんなと同じようにコートへと向かった。





なんだかよくわからないが、私の士気も及川の言葉によって高められた。






























その試合は見事勝利を収めることができた。
次の試合も、その次の試合も勝ち進み、そして決勝までうちのチームは上り詰めた。





そして、
決勝の結果は・・・
































「ごめん、及川・・・」


「別にいいよ。勝ったんだし」


「でも・・・!」



「怪我のことなら気にしないで。

 自分でやらかしたんだし・・・」


「・・・・・・」








結果的にうちのチームはバスケ部門で優勝。

だけど、その時及川に怪我をさせてしまった。

試合中突き飛ばされて、倒れそうになったところを及川が庇って捻挫したのだ。

ファンの子たちから批判がくることはもちろんだが、バレー部のエースに怪我を負わせてしまったことがすごく申し訳なかった。








「ほんと、ごめん、なさい・・・・」


「だから、そんなに謝る必要はないから・・・」




「だけど・・・」





「・・・じゃあ、そんなに謝るなら、責任とって俺の言ううこと聞いてくれる・・・・・・?」






「え・・・?


 ・・・うん。いいよ。聞く。」






そういうと、及川は考え始めた。

嗚呼、どんな酷いお願いをされるんだろうか・・・
そう考えていると、








「じゃあさ、今度の日曜日の練習試合見に来てくれない?あ、弁当も持って!」








「え・・・・?そんなん、で、いいの?」









「うん。だって、榎月ちゃんって俺の姿見てるの割と苦痛に感じてるでしょ?」







「うっ・・・」







「だから、及川さんのプレイするところを見てて。それが、責任。ね?」








「・・・わ、分かった。責任はちゃんと取りマス・・・・・・」







「よろしい。じゃ、楽しみにしてるよ♪」




「うん・・・」








及川は立ち上がって、教室へと足を向けた。

が、何かを思い出したかのように私の方にもう一度向き直った。

























「いっとくけど、その時に絶対もう一回俺のプレイが見たいって言ってみせるから、





 ・・・覚悟、しといてね?」
























そういう夕日に照らされた自信満々な及川に、少しドキッとした私だった。




































〜練習試合当日〜
(・・・はい)
(うわ〜・・・。すっごい美味しそう!!)
(それは良かった)
(味もすごくおいしいし!!)
(あ、りがと・・・)
(・・・また、つくってきてくれる?)
(え?・・・うん)



































fin.

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