文【P】

□幸せの青い鳥
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幸せの象徴になんて程遠いけど



彼女にとっての幸せになれるなら

それもいいかもしれない










まだうっすらと辺りが明るくなって来た日が昇る前の静かな朝方、何となく早くに目が覚めたボクは近くの森林を散歩してた。

並木道を抜けて開けた野原に出ると、こんな朝早くに女の子が一人佇んでる。

黒のノースリーブワンピースに鳥籠を片手に、朝霧に包まれてるせいか神秘的で。

何をしてるのかぼうっと見てたら、ボクに気付いたのか此方にゆっくり近付いてきた。



「…青い鳥を捜しているの、知らない?」

「…ンーン?見てないなァ」

吸い込まれそうな黒い瞳で見上げられて、想定外なことを尋ねられたから言葉に詰まっちゃった。

「…そう、ありがとう…」

「…」

見た目は黒一色の印象だけど、透き通る様な声に儚げな雰囲気のせいか透明感漂う。

どうやら鳥を捜してるみたい、手に持っている鳥籠は確かに空だ。

「ねぇっ?…朝方は冷えるから、コレ…貸してアゲル」

「……ありがとう…」

まだ陽も射さない森の中でノースリーブのシフォンワンピース一枚では寒々しく見えて、羽織って来たボクのストールを首に掛けてあげたら彼女
はふわりと微笑んで。
今まで感情がないみたいに無表情だったせいか、微笑んだ表情がとても綺麗に見えた。

「一緒に捜すヨ!こんなトコに一人でいたら危ないからネ」

「…ありがとう、優しいのね」

ふらっと去ってしまいそうな彼女の後をついて来てしまった、何故か放っておけなくて。



「…そうだ、キミの名前は?ボクはスマイルだヨ」

「わたしはかごめ…」



ボクとかごめの青い鳥捜しが始まった。










「捜してる鳥は、かごめの鳥なの?」

「そう、わたしの幸せの青い鳥…」

木という木を一本ずつ見たり、空を見上げたりしながら二人で鳥を捜してる。
太陽が真上に来てたのに気付いて、随分な時間捜し歩いてたみたい。



「…もう、何処か遠くに行ってしまったのかもしれない」

「もう少し捜してみようヨ?ちょっと休憩してさ」

一向に捜している鳥は見つからないし、ずっと動きっぱなしの疲れのせいもあるだろう、かごめは小さく溜め息を吐いて少し諦めモードだ。

まだ捜してない所もあるし、此処まできたら納得が行くまで捜さなきゃ気が済まない使命感がボクには芽生えていて。
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