いろんなの。

□題して救っちゃおう大作戦☆《紗希様へ相互記念》
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『別れようか。』




泣きそうな眼で別れを告げられた。
泣きたいのはこっちなんだけど、あんまりにも綺麗に笑うもんだからちょっと気が引けた。




『結婚、するの、わ…たし。』




途切れ途切れに口を付いたその言葉は、俺を刺激する。
いつもと変わらない筈の俺の中の日常が一瞬にして別もんに変わる。




「……………………。」



『黙ってて、ごめんなさい。
…私、貴方と付き合いながらその人とも付き合ってた。』




何がごめんなさいなんだか、
要するにアレだろ?浮気してたってことだろ?

イラつきとはまた違った何かが押し寄せる。




『……ごめんなさい。』




2度目の謝罪。
けど、笑っていやがる。
何を考えてるのか検討もつかねぇ。
ただ、分かってることといえばコイツは結婚するということ。
んで、俺は世間で言う「元彼」になるということ。




「…いい話じゃねぇか。おめでとさん。」




唐突に口から出たのはそんなこと。
ここで引き留めて何になるのか分からない。
引き留めたからと言って結婚取り止めー…なんてことにはなるはずがない。

だったらコイツと同じように、笑ってようと考えたんだろう。
それが俺の答えなんだろう。




『……え、』



「俺が怒るとでも思ったか?
ばーか、怒んねぇよ。」




始めて今表情を変えた。
眼を真ん丸にして俺を見る。
少し悲しげな表情を浮かべ顔を逸らされた。




「…けど1つだけ、聞いていいか。」




…答えを出しておいてだが
まぁ、一応は好きになった女な訳で、俺が幸せにしてやろうと思った女な訳で、
最後にちゃんと聞いておこうと思った。




『……どうぞ。』




顔を逸らしたまま声だけで答える。





「お前そいつと居て幸せか?」





俺の言葉が終わる前に顔を上げた。
何の感情も無いように見えたが明らか眼は揺れていた。
眼が合うと開きかけた口が閉じ、再度開く。




『………し…あわせに、決まってるでしょ……。』




強い口調だったがうろたえているのがバレバレだった。
コイツが嘘つけない人間だって知ってるから試すような形になってしまったが
…本音が聞きたかった。
だけど1度開きかけた口がなんと言おうとしたのか、聞くことはなかった。




「……そうか。」




去っていくその姿を眼で追うこともなく
ただ音が消えていくのを待つだけだった。
シンと静まりかえった部屋で1人ため息をつく。
何も知らなかった、アイツの変化を何も気づけなかった。
だって昨日までは全然そんなことなくてよ?
いつもみたいに笑って大好きって、…言ってたじゃねーかコノヤロー。





「マジでかー……」




どうやらオレは、フラれたらしい。





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