BASARA

□愛す可し
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「名無しさんちゃんってさ、前から思ってたけどかわいいよねーvV」

放課後のバスケット部の汗臭いその部室の中に二人の男女。

チームのエースを任されている男、猿飛佐助がそう言って後ろを振り返る。

すると佐助よりも顔ひとつ分小さい少女は呆れた顔をして振り返って口を開いた。


『なに寒い嘘、ついてるんですか?』

返ってきたその声に佐助は苦笑いする。


「嘘じゃないんだけどなぁ;」

『知ってますか、先輩?かわいいって「愛す可し」って書くんですよ』

「うん、知ってるよ。てゆーか、実際そー思ってるし??」


『……は?』


俺様がそう言うと名無しさんちゃんは、呆れた顔を崩して、ほんの少し不思議そうな顔をする


「だーかーらー、名無しさんちゃんのことが好きだ、っていってんの」

そう言いながら上のユニホーム脱いで手渡すと名無しさんちゃんはとくに気にする様子はなく、俺様をただ見ていた


「で、名無しさんちゃんは俺様のこと好き??結構脈あると思うんだけどなぁvV 」

『なに馬鹿なこと言ってるんですか?』

特に興味が無いように、名無しさんちゃんは俺様が脱いだユニホームを洗濯機に放り込んでそう言った


「え、俺様フラれた?悲しくて泣いちゃう(泣)」

『Σ違っ!』


俺様が両方の手のひらで顔を覆って泣き真似をすると名無しさんちゃんはバッ!!っと効果音がつきそうな勢いで振り返り否定の言葉を口にした


「へー、違うんだぁ♪じゃあ、どぉ思ってるのかなぁ?ん??」

そう言って名無しさんちゃんの顔に自分のそれを近づける

それから30秒ほどの沈黙が続いて、やっと口を開いた


『……好き…です…////』

小さな声でボソボソと俯きながらそう言った

小さくてもしっかりと、それは俺様の耳に届いた
でも、もう一度聞きたくなって少し意地悪をする。


「え?なに?聞こえなーい☆」


ニッコリと笑ってさっきよりももっと、顔を近づけると


『……ッ////…もう知りません!!』

そう声をあげて部室からでて行こうとする

それを慌てて止めて、
自分の腕の中に閉じ込める

「Σ待って待って!ごめん、ウソ。ちゃんと聞こえてたから…。ありがとvV 」






名無しさんちゃんが入学してきて、
男バスのマネージャーになってから一年ちょっと、
一目惚れの片思いからようやく…、
脱出できたみたいだ


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(って、ちょっと先輩!服着てください、服!!)
(えー?なになに??はずかしいんだーvV )
(Σ先輩なんか嫌いです!!)
(あはーvV 俺様はだぁいすきだけどねー♪)
(…うぅ/////)
(名無しさんちゃんってほんっとに可愛いなぁvV もぅvV )
 

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