TOA
□雨宿り
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「やば、降ってきたな……」
雲に覆われた薄暗い空から、最初はポツリと、すぐにザーザーと降り始めた雨。
(くそ、今日は降水確率30%だったのに)
心の中で悪態を吐きながら店の屋根で雨宿りをする。
辺りは、俺と同じく傘を持ってない人たちが走っていたり、雨宿りしていたり。
そして所々に咲く鮮やかな傘たちが右に左に、景色と同化したようにゆらゆらと行き交っていた。
「ふぅ……。コレ、何時止むのかな……」
両手に重たい袋をぶら下げながらため息を吐く。
さすがに走って帰るわけにはいかない。
袋の中の食材やなんやらが濡れてしまう。
そして何より、この重さを持って走れる気がしない。
俺は諦めて、雨が止むのを黙って待つことにした。
(せめて、誰か迎えに来てくれたら、なんて……)
俺はまた、ため息を吐いた。
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