TOA

□花占い
1ページ/7ページ




名前は今日も、花占いをする。


――スキ、キライ、スキ……。

そう、楽しそうに口ずさみ、花びらをゆっくりと摘み落とす。

しかし、最後の花びらでいつも悲しそうにする。


いつも"キライ"で終わる花占い。

"スキ"が出ることがない花占い。


時々涙を流す彼女に、花の提供者である俺は罪悪感に苛まれる。


「ガイー、今日もキライで終わっちゃったー……」

涙目で隣に座る俺を見る名前に心の中で謝りながら、顔には苦笑いを貼り付けた。


「そっか、残念だったな……」


花占いが必ず"キライ"で終わる理由……。

それは、全ての花びらの数が偶数の花を選んで渡しているから。

スキから始まる花占いは、奇数の花びらを持った花でなければ、スキで終わることはない。

彼女はそれに、まだ気付いていない。



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ