TOA
□花占い
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名前は今日も、花占いをする。
――スキ、キライ、スキ……。
そう、楽しそうに口ずさみ、花びらをゆっくりと摘み落とす。
しかし、最後の花びらでいつも悲しそうにする。
いつも"キライ"で終わる花占い。
"スキ"が出ることがない花占い。
時々涙を流す彼女に、花の提供者である俺は罪悪感に苛まれる。
「ガイー、今日もキライで終わっちゃったー……」
涙目で隣に座る俺を見る名前に心の中で謝りながら、顔には苦笑いを貼り付けた。
「そっか、残念だったな……」
花占いが必ず"キライ"で終わる理由……。
それは、全ての花びらの数が偶数の花を選んで渡しているから。
スキから始まる花占いは、奇数の花びらを持った花でなければ、スキで終わることはない。
彼女はそれに、まだ気付いていない。
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