TOA
□Water Festivalとハートのオブジェ
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久しぶりにグランコクマに訪れる用事が出来て、もう日も暮れてきそうので、今日はもう宿で休もうということになった。
そして今日のグランコクマはいつもと違う。
街中には宮殿へ向かうように並べられたイルミネーションや屋台、そして沢山の人が。
「名前は、ウォーターフェスティバルを知っていますか?」
買い出し当番だった俺とジェイドは、頼まれていたアイテムやら食材やらを買い終わり、宿へと向かっている最中、隣を歩いていたジェイドが突然そう言った。
「ウォーターフェスティバル?何それ?水の祭……?」
俺は聞き慣れない単語に首をひねった。
「毎年、夏になるとグランコクマで行われる祭ですよ。海水が噴水のように打ち上がったり、音楽に合わせて噴出させたりと、中々有名な祭で、この時期になると沢山の観光客が集まるんです。屋台なんかも出て、美味しいものも沢山あるんですよ」
淡々と説明をするジェイドを横目に、だからこんなに人が多いのか、と一人納得する。
「その祭が今日から始まるんです。だから、と言うわけではありませんが……、」
「ん?」
ジェイドは少し歯切れ悪く言いながら、俺の顔を見つめた。
「一緒に、行きませんか……?」
「あー、それってつまりさぁ……、デート的な……?///」
「ええ、ダメですか?どのみち今日はもう用事もありませんし」
「お、おう。じゃあ、行く……///」
突然の誘いに、俺は照れながらも、普段から多くないそれに嬉しくなり、戸惑いながらも頷いた。
「では、荷物を置いてから行きましょうか」
やんわり笑ったジェイドに俺も笑って頷いた。
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