ぬら孫
□好きな理由。
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「じゃあ、行ってくる。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
二代目が出入りに向かう際、若菜さまは必ず笑顔で行ってらっしゃいと答える。
「今帰った。」
「お帰りなさいっ!!」
出入りから帰った際、どんなに遅い時間になってもかならず笑顔で、出迎えてくれる。
(強いお方だ…)
首無は若菜をみながらそう思った。
そして、鯉伴以外にも首無やお供の皆にも太陽のような笑顔で
「お帰りなさい。」
と言ってくれる若菜が好きだった。
それは恋愛感情ではなく、ただ単純に好きだった。
「ったく、めんどくせぇな。」
「まぁまぁ、そんなこと言わずに。」
今日は交流の深い妖怪一家たちとの重要な会合がある。
当然二代目である鯉伴も招待されたのだが
「親父だけで行けばいいじゃねーか。」
当の本人は全く乗り気じゃない。
「二代目頭首なのですから、しょうがないですよ。」
「けどなー…」
今だに、乗り気じゃない二代目の元にタタタッと軽やかな足音が届いた。