ΦBrain

□白黒の世界
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真っ暗な世界。

その世界でたった一人で立っている人物。


周りには、ギャモンやアナやキュービックや軸川先輩、姫川エレナが倒れている。


お前は・・・



誰だと思い、近づいて顔を見ようとした。


しかし、フードでよく見えない。


手を伸ばしたその時。


風に吹かれフードがとれた。




え・・・!?



そこにいたのは・・・



“俺(カイト)”自身だった。


ーーー
ーー



「っはあ!!ハァ、ハァ・・・。」


気がついたら、目が覚めていた。

「あれは・・・夢、か・・・。」


汗も大量にかいて、息切れしている。

すごく、目覚めが悪い。



水を飲みに行こうとしたときに、異変に気づいた。


「目が・・・色が、ない・・・」


周りのもの全て白黒にみえる。



こわい。


「っうわぁぁぁぁ!!」


そう思ったら急に激しい頭痛に襲われた。


なんだ、これっ・・・!?


頭の中をさっきの白黒の夢が目まぐるしく廻る。



白と黒。


他に色はなく、その二つの色がすべてをみ込んでしまいそうで、こわい。



俺一人になりそうで、こわい。



「誰か、誰か!!一人にしないでくれ!!」




ぎゅ



今、何かが俺に触れた。


なんだ、この温かいのは。



「・・・ト、カイト。」



・・・この声は、ノノハ?

ノノハが俺を抱きしめてるのか?


そして、みるみるうちに目に色が戻っていく。




「・・・ノノハ、ノノハ!」

一人じゃないという実感がほしくて、夢中でノノハを抱きしめた。


「カイト、私はここにいるよ。」

「ノノハ・・・。」

「カイトは一人じゃないよ、私がずっと傍にいるから、ね?」


ぎゅっと抱きしめてくれるノノハ。


いつのまにか、頭痛も収まっている。

そして一気に力が抜けた。



「キャ!!カイト!?」



ノノハの肩に身を任せた。


不思議と、心が落ち着いてくる。




ノノハの髪の色。

目の色。

服の色。


ノノハを中心にどんどん色が広がってゆく。


「ノノハ。」


「カイト?」


その色に染まりたくて、またノノハを抱きしめた。


傍に人がいる温かさ、嬉しさが俺の中を満たしていく。



「ありがとう。」

「え?」

「俺の傍にいてくれて、ありがとう。」

「・・・なにいってんの、当然でしょ。」




あの夢にノノハはいなかった。


もしかしたら、あの未来を変えてくれるのは、ノノハなのではと思った。


すくなくとも、色を失った俺に色をくれる、ずっと傍にいてくれるのはノノハだ。


胸に落ちてくる温かいもので、ノノハが泣いているのが分かった。


「なに、泣いてんだ。」

「だって、カイトがっ!!」


俺のために泣いてくれるのか嬉しくて、頭を撫でてやった。


「か、カイト!?」

「もう大丈夫だから泣くな。」


そう言うとノノハは、そうだねと笑った。


どうやら俺は、まだまだノノハ離れできないようだ。





君が傍にいてくれる限り、俺は大丈夫。


そう思った。






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