ぬら孫
□好きな理由。
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「鯉伴さん、まだ駄々こねているんですか?」
「若菜。」
「若菜さま。」
半ば呆笑できたのは若菜さまだった。
「だってよー、若菜。折角出入りも無いから二人で過ごそうと思ったのに…。」
「に、二代目。」
まさか、そんな理由で行きたくないと言っていたとは…
「ほら首無くんも困ってるじゃないですか。」
呆れている俺をみて若菜さまが言う。
「でも、若菜、親父も毛倡妓も雪女もいないんだぞ。」
寂しくないのか?
そう聞く二代目自体が寂しいのではないのか…。
初代と二代目が揃って出席する大きな会合で、かなりの数の妖怪が集まる。
もしものことに備えて、一家総出で行くのだ。
「大丈夫ですよ。それに、首無くんもいるので寂しくないですよ。」
「え゛…」
前回の出入りで深手をおった俺は大事をとって、休養をとることになったのだ。
しかし。
若菜さま、その発言はちょっと…。
ただならぬ殺気を感じるのですが…。
「…まぁいい。首無、留守の間若菜を頼むぞ。」
「はい。」
それはもう、二代目の大切な若菜さまですから、命に代えてもお守りしますとも。
「鯉伴さん、無事に帰ってきてね。」
「ああ…。んじゃ、行ってくる。」
「行ってらっしゃいませ。」
「行ってらっしゃい!」