ぬら孫
□好きな理由。
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二代目たちが行ったあと、屋敷は静けさに包まれた。
「静かだな…。」
「首無くん。」
縁側に座って酒を飲みながら満月をみていると、若菜さまに声をかけられた。
「若菜さま。」
「今日は静かね、どう?怪我の具合は。」
「あ、おかげさまで完治いたしました。」
「それはよかった!!」
首無くんの怪我、酷かったから一安心ね。
と、俺に笑顔を向ける。
そして、疑問が一つ浮かび上がった。
それは、前々からずっと首無が聞きたいことだった。
「若菜さま、あの…一つお聞きしたいことが。」
「ん、なぁに?」
「なぜ…なぜ、若菜さまは二代目と人生を共にしようとしたのですか?」
若菜さまはまだ20にも満たない、若い人間の娘だ。
これから先、いい出会いがまだまだ、たくさんあっただろう。
二代目には言ってない話だが…
先日、買い物中の若菜さまを見かけた時、一人の若い男が若菜さまと親しそうに話していた。
誠実そうで、とても感じがよい男だった。
「あぁ、それはよく行く八百屋さんの息子さんよ。」
「あの男性のように、人間のいい相手も現れたでしょう。
…なぜ、二代目を?」
わざわざ、人間の世界より危険の多い妖怪の任侠一家に。
つらい思いをするのは分かっていたはず。