ぬら孫
□好きな理由。
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そうねぇ…、と一息ついてから若菜さまは夜空に浮かぶ満月をを見上げた。
そしてふいに、悲しそうな顔をした。
「首無くんは、私がここに嫁がないほうがよかったと思ってる?」
「い、いえ!そういうことでは!」
「ふふ、冗談、冗談。」
なぜか、ね…。
と今度は微笑んだ。
「一緒にいたいだけよ、他に理由なんてないわ。」
「一緒に、いたいだけ…?」
「そう、鯉伴さんと一緒にいたいから居るだけ。
過去になにがあろうと、今私が鯉伴さんの側にいたいから。
ただそれだけよ。」
「…そう、ですか。」
あぁ…。
この娘は…、すごい。
妖怪任侠一家に知り合いもいない中一人できて、つらい思いもたくさんしただろう。
そんな中、小さい体でこんなことを考えていたなんて。
「それに、首無くんや毛倡妓ちゃんたちにも出会えたし、ここに嫁いでよかったわ。」
「…若菜さま。」
なんだか…。
二代目がこの人に惚れた理由が分かった気がする。
この笑顔が二代目の、暗く沈んだ心を癒したのだろう。