ぬら孫

□愛しの君へ。
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…――


(……ん?)



――…わ…な…



(この声は……)






「――若菜っ!!」

「…鯉伴、さん?」


目を開けると、鯉伴さんの心配そうな顔が目の前にあった。

いつのまにか、眠ってしまったらしい。


「ばかやろうっ!!」


そして、強く抱きしめられると同時に怒られてしまった。


「こんなに冷たくなって…なんでこんな寒いなか晩くまで外にいるんだ!!」


「…だ、だって、鯉伴さんが心配だったから…。」


そういうと鯉伴は一変し、今度は優しく抱きしめられた。


「…悪い、心配かけた。」

ごめんな。


鯉伴は冷たい若菜の体を温めるように、優しく撫でた。


「…私、一瞬もしかしたら鯉伴さんは帰ってこないんじゃないかと思いちゃいました。」

「んなわけねーだろ、若菜を置いていくことはしねぇよ。」


「…よかった、帰ってきてくれて。」


鯉伴の胸に顔を埋めると、とても暖かくてさっきまでの不安が吹き飛んでしまった。



「…若菜。」


「はい。」


鯉伴は若菜を離し、目をあわせた。


「若菜、誕生日おめでとう。」

「え…」


「朝はなかなか言えなかったからな、それにまだ時間は大丈夫だろ。」


「あ…」

時間をみると、11時50分だった。


「10分前、ギリギリセーフですね。」

「急いで帰ってきた甲斐があった。」


 
 
 
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