ぬら孫

□愛しの君へ。
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「それでな… 」


鯉伴が懐から小さな小包をだした。


「プレゼントだ。」

「私に…?」


開けてみると、小包のなかには


「わぁ、綺麗!」


橙色の紅葉がついた簪が入っていた。


「若菜に似合うとおもってな。」

「あ…ありがとうございます!」


うれしいです。


と感想を述べようとした。

しかし、それは言葉にならなかった。



鯉伴が己の唇で若菜の口を塞いでいた。


「〜っり、鯉伴さん!!?」

「若菜。」


まだ、真っ赤な顔をしている若菜をみながら鯉伴はいった。


「今日は寂しい思いをさせて悪かったな。」

「い、いえ!!」


「それに、いつも俺のそばに居てくれてありがとう。」

「…鯉伴さん?」


「俺を愛してくれてありがとう。」


「鯉伴さん…。」


今日は素直な鯉伴さんですね。

そういって笑った若菜の髪に、鯉伴は簪をさした。





あぁ、やっぱし。


太陽のような笑顔にはこの色が似合う。


鯉伴は離さないというように強く、そして優しく抱きしめた。



「鯉伴さん。」

「ん?」

「私今、すごく幸せです。」

「…俺もだよ。」

「誕生日、鯉伴さんに祝って貰えてよかった。」



ありがとう。


その言葉が言い終わると、二人はまた深く優しい口づけを交わした。


そして、屋敷には午前0時を告げる鐘が鳴った。



 
 
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