その他

□夢のなか
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青空に広がるのは銀の花びら。

私はそれに手を伸ばした。

けれど、その銀の花びらは己の手をすり抜け、空高くへ消えていった。

まるで…

”私が見えていないみたいに。“




桔梗はゆっくりと目を覚ました。

「なんだ、夢か…」

今さっきまで、みていた夢を思い出す。

自分にとても腹が立ってきた。

「己の手で幸せを壊しておいて…私はまだこんなことを。」

私はまだ、あいつに手を伸ばすのか。


死魂虫たちが頭上で飛び交っている。


死者の魂を糧とするこの狂気な体になった今。

もう、清らかな巫女ではない。

あるはずのない心の臓まで、黒く染まった哀れな巫女になれはてた。


そして、幸せを望んでいい女ではない。

いや、むしろ女でさえないのかもしれない。


なのに、たびたび夢に出てくる想い人。

琥珀色の目をしたお前はなぜ、夢に出てくる。



「会いたい。」


無意識に出た言葉に自身が驚き、後悔した。


あいつ…犬夜叉は私などもう、みてはいない。

違う。

みてはいけないのだ。


犬夜叉には仲間がいる、愛しい娘もいる。


新しい道を築き始めている。




私には、何もない。

心も涙
も、仲間も愛しい人も。

それでも、どこかで犬夜叉に会いたいという気持ちがあった。


「…どうせ会えないのならば、夢になど出てくるな。」


そうすれば忘れられる。
想いを断ち切れる。


お願いだから、もう夢に出てくるな。




会いたい気持ちがますから、もう出てくるな。
 
 
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