ぬら孫

□冷たいのは冬のせい
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抱きしめられ、鯉伴が若菜の肩に顔を埋めた。


「鯉伴さん?どうしたんですか?」


「若菜。」


「ひゃ!!?//」


鯉伴の低い声が、いつもより耳元で響いて、体が熱くなる。


「体、めちゃくちゃ冷てぇぞ。」

そして、鯉伴が顔をあげて若菜の頬に手をあてた。


「冷たいし、肌白いし…、雪みたいだ。」


そして、鯉伴は若菜の唇に己のそれを合わせた。


それは、雪を溶かすような熱い口づけだった。

「―――っり、鯉伴さん///」


やっと長い口づけから、解放された。

「若菜、顔真っ赤だぜ。」


「!」


「体はまだ、冷たいのにな。」


鯉伴は若菜をおもしろそうにからかっていた。

まるで、心配させた仕返しみたいに。



真っ赤な顔で口をパクパクさせていた若菜は、仕返しだと分かると相変わらず真っ赤な顔で鯉伴を睨んだ。



「つ、冷たいのは冬だからです!!」

「じゃあ、顔が真っ赤なのは?」

「冬の、せい…。」


「ほんとか?」


若菜は堪忍したように、鯉伴から目をそらした。


「り、鯉伴さんのせいです!」


その言葉を聞いて、満足げな鯉伴は、若菜の手を握った。


「ま、家に帰ったら俺が暖めてやるよ。」


「え!?」


「さ、帰るぞ、みんな待ってる。」


「はい!」


雪の降るなか、家路につく二人。

鯉伴はずっと若菜の手を握っていた。



雪のように、溶けて消えないように。

冷たい手を己の体温で、暖めるように。



 
 
 
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