ぬら孫
□冷たいのは冬のせい
4ページ/6ページ
抱きしめられ、鯉伴が若菜の肩に顔を埋めた。
「鯉伴さん?どうしたんですか?」
「若菜。」
「ひゃ!!?//」
鯉伴の低い声が、いつもより耳元で響いて、体が熱くなる。
「体、めちゃくちゃ冷てぇぞ。」
そして、鯉伴が顔をあげて若菜の頬に手をあてた。
「冷たいし、肌白いし…、雪みたいだ。」
そして、鯉伴は若菜の唇に己のそれを合わせた。
それは、雪を溶かすような熱い口づけだった。
「―――っり、鯉伴さん///」
やっと長い口づけから、解放された。
「若菜、顔真っ赤だぜ。」
「!」
「体はまだ、冷たいのにな。」
鯉伴は若菜をおもしろそうにからかっていた。
まるで、心配させた仕返しみたいに。
真っ赤な顔で口をパクパクさせていた若菜は、仕返しだと分かると相変わらず真っ赤な顔で鯉伴を睨んだ。
「つ、冷たいのは冬だからです!!」
「じゃあ、顔が真っ赤なのは?」
「冬の、せい…。」
「ほんとか?」
若菜は堪忍したように、鯉伴から目をそらした。
「り、鯉伴さんのせいです!」
その言葉を聞いて、満足げな鯉伴は、若菜の手を握った。
「ま、家に帰ったら俺が暖めてやるよ。」
「え!?」
「さ、帰るぞ、みんな待ってる。」
「はい!」
雪の降るなか、家路につく二人。
鯉伴はずっと若菜の手を握っていた。
雪のように、溶けて消えないように。
冷たい手を己の体温で、暖めるように。
あとがき&おまけ→